9月16日から始まる「ワールドカップバレー2023」を前に関係者の間で懸念されているのが、女子選手に対する「盗み撮り」問題だ。
バレーボールの試合会場では白熱する試合に熱心に声援を送るファンがいる一方、選手のバストや下腹部、インナーのラインを狙う悪質な観客がいる。撮影された写真はネットにアップされ、選手たちを精神的に追い込んでいる現実がある。
今年2月には元日本代表の栗原恵が身体やインナーのラインが見えてしまうことに「不安を感じることがありました」と告白。対策として、自らアドバイザリースタッフを務めるメーカーのインナー一体型の練習着を紹介している。
また、Vリーグ「久光」や日本代表で活躍し、今年6月末で現役を引退した石井優希もメディアの取材に対して、自身もインナーのラインなどをアップで撮られる被害にあったことを明かし、「やっぱり気持ち悪い」と告白。一方で、
「疑いの目で見てしまうと、ファンの人もアスリートもどっちもいい気持ちではない」
と苦しい胸の内を吐露している。
スポーツライターが語る。
「最近はカメラがどんどん小型化し手口も巧妙になっていることから、一見では撮影していることすらわからないケースも少なくありません。また、選手のプレーを捉えているフリをしながら堂々と悪質な撮影する輩もいて、どこまでが盗み撮りなのか判断できないこともあります。現在は発覚してもすでにデータが転送されてしまう場合もあり、肝心の証拠すら残らない。選手の不信感を完全に払拭ることは難しいでしょうね」
7月13日には性的な盗み撮りなどを取り締まる「性的姿態撮影等処罰罪」が施行されたが、着衣の上からの撮影された場合は対象とならない可能性が高い。
問題はバレーボール選手に限ったことではない。盗み撮りはもってのほかだが、各スポーツ団体には、女子アスリートたちが伸び伸びとプレーできる環境作りを願いたいものだ。
(ケン高田)