「天賦の才は龍馬の才」
そんな応援歌をファンが熱唱するオリックスの西川龍馬が「天賦から陳腐」へと、その評価をダダ下がりさせている。
広島からFAで今季から加入したオリックスでは、ここまで71試合に出場し、打率2割4分、3本塁打、26打点、50三振(いずれも7月1日時点)。昨年3割5厘、一昨年3割1分5厘の打率を残していることを考えれば、極めて低調な打撃成績である。
「パ・リーグに来なければ『天才』のままでいられたのに…」
と揶揄する声が聞こえてくる始末なのだ。
もっとも、そんなファンの声には、れっきとしたデータの裏付けがあった。西川のここまでの成績は先に記した通りだが、これを「セ・パ交流戦」の前後で見ると、大きな違いが見えてくるのだ。
交流戦前は45試合で打率2割2分3厘、1本塁打、12打点で、打撃指標数を表すOPS(チーム得点への貢献度)は.543。ところが古巣セ・リーグと対戦する交流戦の打率は一気に3割1分4厘に跳ね上がり、OPSは.761に向上している。
そしてレギュラーシーズンに戻ると、またもや打率1割6分7厘、OPS.494へと急降下。まるでジェットコースターのような落差だが、この数字だけを見れば、完全にセ・リーグでしか通用していないことがわかる。ちなみに古巣の広島3連戦では単打3本で、両チームのファンどちらからも文句が出ない、無難な仕事ぶりを見せていた。在阪スポーツメディア関係者が語る。
「今季まだ離脱していないのが不思議なほど、不調に陥っています。オリックスとは4年総額12億円以上の条件で契約したといわれますが、丸佳浩の年齢などもあり、今後の外野手不足が懸念される巨人などは、ノドから手が出るほど欲しい選手でしょうね。セ・リーグでは天才の名をほしいままにした実績があるのですから、オリックスの契約を引き継いで獲得に名乗りを上げるセ・リーグ球団が出てくるかもしれません」
パ・リーグには速球派の投手が多く、150キロ超の速球をコンスタントに投げ込んでくる投手は、西川にとって鬼門となっている。応援歌の通りの才を爆発させる時が、オリックス在籍中にあるのだろうか。
(ケン高田)