日本野球機構(NPB)は7月2日、「マイナビオールスターゲーム2024」のファン投票結果を発表。パ・リーグはDHを除く全9部門で日本ハムの選手が選出された。
パの選出は、日本ハムが9人、ソフトバンク2人と西武が1人だったが、1球団が9部門でトップだったのは、昨年のセ・リーグの阪神に続き2年連続だ(昨年の阪神は、外野手部門3位でノイジーも選出され、計10人が選ばれていた)。
だが、やはり第1戦(7月23日)が新本拠地のエスコンフィールドHOKKAIDOで行われることは大きい。チームはやや失速中で、貯金は1まで減ってしまったが(7月2日時点)、成績が下降する間でさえ、得票だけは伸びた印象だ。
一方のセは、阪神とDeNAから最多の3人、ヤクルトと中日から2人、巨人から1人だった。これは、あきらかに異変だ。なぜなら、現在首位の広島からの選出がゼロなのだ。これには野球記者が首をひねる。
「阪神のファン選出が減ったのは、やはり今年のチーム状態が響いていることは確実です。ところが、トップを独走しようかという勢いの広島がゼロというのは驚きです。内野手は小園海斗が遊撃手で3位に入っている以外、他のポジションにはベスト5に広島の選手がいません。外野手はベスト10の中で秋山翔吾が8位にいるだけです」
ちなみに投手は、先発でベスト10中、床田寛樹と森下暢仁が7位と8位、中継ぎで島内颯太郎が3位、抑えで栗林良吏が2位という得票数だが…。
「防御率1位の大瀬良大地は圏外、3位の森下は8位、勝利数で阪神の才木浩人に次いで2位の床田が7位と、成績に合った得票数を稼いでいる選手はいません。セーブ数で2位の栗林だけが実力相応でしょうか。どちらにせよ『どうしたカープファン?』という印象です」(前出・野球記者)
確かに、熱狂的で有名なカープファンの盛り上がりの低さは気になるところだ。ムーブメントに詳しい野球ライターは、理由は2つあると言う。
「今回の広島のオールスター得票数が表しているのは、世間の流行として盛り上がった、あの『カープ女子』ブームの死滅です。もちろん、カープ女子がいなくなったわけではありません。落ち着いたという表現が正しいでしょうか。かつてのような、東京や大阪から広島まで遠征して見に行くような熱烈女性ファンは激減しました。それともう1つ、バレンタインチョコの発送数で断トツ人気だった森下投手の結婚は大きいですね。ファンとしてはまだ応援はしているはずですが、今の〝推し活〟の時代に、彼の結婚は、女性にわかファンの熱狂を醒ますのに十分な消火剤となりました。彼を追いかけることで、他の選手を推す女性ファンが同時に増えましたからね。今はまさに、サーっとブームが引いた状態といえます。わざわざ広島を盛り上げようと、にわかファンがオールスターに投票などしていないというのが実情でしょう」
そうなると阪神や巨人に比べ、もともとのファンの母数が少ない広島は不利だろう。
「地の利」の恩恵を受けた新庄剛志監督は、どのように今回のブームを継続していくのだろうか。彼なら、何かプランがありそうだが…。
(飯野さつき)