首位を独走するソフトバンクは、2位ロッテに9ゲーム差をつけ(7月8日時点、数字は以下同)、早くも「優勝間違いなし」の声が聞こえてくる。
だからなのか、小久保裕紀監督の心には余裕があるのだろう。クリーンアップにバントを命じる場面が見られるようになったのだ。
例えば7月7日の楽天戦では8回裏無死一塁の場面で、3番の栗原陵矢に送りバントを指示。次打者の4番・山川穂高の一打に懸けたが、サードゴロに倒れてしまった。
栗原のバントは7月5日にも試みられており、1回裏無死一・二塁のチャンスで成功させたものの、4番・山川が空振り三振に倒れ、得点することはできなかった。
小久保監督の山川への思いはかなりのものといえるが、打率2割7分5厘、7本塁打45打点と好調の栗原にわざわざバントをさせ、直近5試合でわずか2安打、規定打席到達者で最下位となる打率2割2分2厘の山川で勝負するのは、ファンとしても納得がいかないだろう。
「小久保監督にしてみれば、山川が倒れても5番の近藤健介で勝負できると考えているのでしょう。しかし、いずれのケースも1塁が空いていたため、近藤は敬遠で歩かされています。栗原の7月の打率は4割3分8厘、OPS1.000と申し分ない成績で、勝負しない手はない。巨人の阿部慎之助監督じゃありませんが、強打者にバントを命じる『ナゾ采配』は、なかなかファンの理解を得られないのでは…」(スポーツ紙デスク)
柳田悠岐が離脱して以降、栗原は主に3番で起用されているが、これまで6回も犠打を命じられた。一方の阿部監督はここにきて3番にヘルナンデスを置いたことで、クリーンナップのバント采配を封印している。
なにかと物議を醸した阿部監督の「バント野球」はいつの間にか、ソフトバンクに伝播していたのである。
(ケン高田)