「え、岸田さんって再選に本気なの!?」
自民党の若手衆院議員は、思わずこう漏らした。内閣支持率が低迷し、党内から岸田文雄首相(総裁)辞任論が相次いでいる中、総裁再選断念に傾いていると思いきや、そうではなかったのだ。
というのも、自民党総裁選の投開票日が9月20日となる見通しに。9月下旬には国連総会が予定されており、岸田首相は総会前に総裁選を終えたい意向とされ、20日案が有力となった。これは岸田首相が再選に意欲を捨てていないことを示している。
総裁選の日程は自民党内で、首相が再選に向けて出馬するかどうかのバロメーターとされてきた。国連総会の一般討論演説は9月24日(現地時間)から始まる。現職首相は米ニューヨークにある国連本部を訪れ、演説を行うのが慣例となっている。
自民党の総裁公選規程によると、議員投票は総裁の任期満了前10日以内と定められている。岸田首相の総裁任期満了は9月30日のため、投開票日は9月20日から29日のいずれかとなる。
投開票日を9月末にすると、国連総会と総裁選の選挙日程が重なってしまうため、20日を選んだという。総裁選の日程は任期満了の1カ月前までに、当の総裁選管理委員会が総務会の承認を得て正式決定する。
岸田首相は8月上旬には広島、長崎の原爆死没者慰霊式・平和祈念式出席、モンゴル訪問などを控えており、8月中旬から下旬にかけて、総裁選に出馬するか否かを正式表明するとみられている。
内閣支持率が低迷し続け、7月7日の東京都議補選でも自民党は2勝6敗と振るわず、「岸田首相では、次期衆院選を戦えない」との声が圧倒的となっている。
にもかかわらず、首相本人は「他に誰が総裁をできるんだ」と強気の構えを崩していない。
「ここは首相お得意の『聞く耳』を発揮して、さっさと退陣してほしい」
と前出の自民党若手衆院議員は期待するが、頑固一徹の岸田首相にはなかなか通じないようだ。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)