災い転じて福となす。これはバブル到来か――。
レッドソックスを事実上、戦力外となった上沢直之の争奪戦が、早くも日本球界で始まった。
上沢は現地時間の7月9日、レッドソックスから出場選手登録の前提となる40人枠から外す処置であるDFAとなった。今後は原則、ウエーバーにかけられ、トレードやFAなどの道を探ることになるが、現時点ではアメリカでのプレーを続行するのは難しい状況だ。メジャーリーグを取材するスポーツライターは、次のように話す。
「メジャー30球団の中でも投手力が弱いとされるレッドソックスでも、5月2日のジャイアンツ戦を含めて2試合に登板しただけ。その後、傘下の3Aウースターでプレーし、中継ぎとしてマウンドに立っていました。ここでも6試合連続失点と、力を発揮できていません。結局、マイナーでは通算13試合に登板して3勝3敗、防御率6.54ですからね。本人はアメリカでのプレー続行を望んでいるようですが、獲得するチームはないでしょう」
一方、日本球界では早くも、上沢は大人気だという。スポーツ紙遊軍記者が明かす。
「すでに水面下では古巣の日本ハムが獲得に向けて大乗り気と聞いています」
その理由はこうだ。
「最近、チームに一時期の勢いがなくなったこともあり、新庄剛志監督が上沢の復帰を熱望しています。それに加え、ポスティングでわずか100万円ほどの金額しか得られなかったことで、フロントからは『許可するんじゃなかった』という声が出ている。仮に開幕からシーズン終了までメジャー登録されれば、日本ハムには51万6250ドル(約7500万円)が転がり込む計算だったのに、アテが外れた。それなら帰ってこい、という話です」(前出・遊軍記者)
だが、すんなりと日本ハム復帰とはならない事情があるという。遊軍記者が続ける。「パ・リーグではクライマックスシリーズへの出場権がかかる楽天は、積極的に獲得レースに参加するでしょうね。混戦状態のセ・リーグでも、投手陣は豊富な阪神以外が欲しいはずです。先発で起用すれば2ケタ勝利を計算できる投手ですからね」
上沢が当初、契約したレイズとは契約金2万5000ドル(約363万円)だが、うまくいけば最大で年俸342万ドル(約5億円)を手にする仕組みになっていた。それだけに日本球界復帰となれば、それなりの金額は必要になる。上沢バブル、マネーゲームが展開されることになりそうだ。
(阿部勝彦)