なんとも厳しい契約となってしまった。日本ハムからポスティングシステムを使ってアメリカ大リーグ挑戦を目指していた上沢直之投手が、タンパベイ・レイズとのマイナー契約で合意したことが、現地メディアに報じられた。今永昇太や山本由伸、松井裕樹が破格の超大型契約を結んで野球ファンを驚かせたが、上沢は苦い現実を突きつけられたのだった。
招待選手としてスプリングトレーニングに参加し、北中南米選手らとのガチンコのサバイバル競争に放り込まれた形だ。スポーツライターが解説する。
「昨年10月にエスコンフィールドでメジャー挑戦の表明会見をした際に、マイナー契約を提示された場合でも交渉に応じると、口を滑らせてしまったことがアダとなりました。メジャー球団側に足元を見られる結果になりましたね。そこそこの実績はある選手ですから、もっと強気の交渉もできたはずですが」
日本ハムの先輩・有原航平の失敗も、アメリカではマイナスになった。有原は2020年にレンジャーズと2年総額6億8000万円で契約を結び、メジャー挑戦したが、2年間で3勝しか挙げられず。帰国してソフトバンクに移籍した。
「上沢も有原も、制球力で勝負するタイプ。今永のように力で空振りを取れるフォーシームか、松井のように大きく特殊な変化球がなければ、なかなかメジャーリーグでは通用しません。来年にはヤクルトの田口麗斗がメジャー挑戦を狙っていますが、彼もコントロール重視の選手。あのレベルでは、ビッグ契約を取るのは難しいでしょう。田口もマイナーからのスタートになるかもしれませんね」(前出・スポーツライター)
実にシビアな世界なのである。
(田中実)