元中日監督で野球評論家の与田剛氏が、不甲斐ない後輩選手に「激おこ」している。
与田氏が首をかしげたのは、7月15日に神宮球場で行われたヤクルト×中日の8回無死一塁のシーンだった。
2点を追う中日は、ヤクルトが左腕の山本大貴にスイッチしたところで、この日無安打だった板山祐太郎に代打・石川昂弥を送って勝負に出た。
この場面、立浪和義監督が期待したのは一発、もしくはランナーを一気に進める長打だったはず。ところが石川は、山本が投じた甘めの初球を見送ると、2球目のツーシームをバットの先に当て、ボテボテのショートゴロ。6-4-3のダブルプレーで、あっけなくチャンスの芽を潰してしまった。与田氏は、
「石川は立浪監督がどんな意図で起用したと思っているのだろう」
と切り出すと、
「あそこはホームランなら最高だが、局面を大きく変えることを期待されている場面。まるで追い込まれているようなバッティングだった。外角球を狙うなら、もっと踏み込んでライトの方を狙うべき。内角を待っているなら見逃してもいい」
バッサリと斬り捨てたのである。
石川は昨年、自身初の規定打席に到達し、キャリアハイとなる13本塁打、45打点を記録した。今季は打線を牽引する存在になるべき立場にありながら、同じポジジョンの高橋周平が好調を維持していたこともあり、開幕2軍スタート。速球に弱く、守備はなかなか上達しない。与田氏が苦言のひとつも言いたくなるのもわかる。
今回の代打の場面では、初球の甘めのど真ん中を思いきり振っていれば、仮に凡打になったとしても、不満の声は出なかったのではないか。
試合後、立浪監督は石川に長打を期待していたと明かすと、
「ゲッツーは全然いいんだけど、やっぱり昂弥もあそこで初球を振っていけるようになっていかないと」
と顔を曇らせた。
石川は今季ここまで38試合に出場し、打率3割、1本塁打、8打点の成績。3割をキープしているのは立派だが、ファンが求めているのは思い切りのいいバッティングだ。
石川は与田氏が監督だった2019年のドラフト1位。苦言が出るのは、それだけ石川に対する期待が大きいからにほかならない。
(ケン高田)