今年11月に行われるアメリカ大統領選での再選を目指していた民主党・バイデン大統領が、選挙戦から撤退すると表明した。
〈私が選挙戦から退き、残りの任期を全うすることは、民主党と国家にとって最善の利益になると信じている〉
7月21日午後(現地時間)、バイデン大統領はXで国民向けのメッセージを公表したが、大統領選撤退の最大の理由が、81歳という「高齢」にあったことは間違いない。
そして、この撤退声明に色めき立って勢いづいたのが、バイデンへの老害批判を繰り返してきた共和党のトランプ前大統領。早速、自身のSNSで、バイデンを次のように罵倒してみせたのだ。
〈ジョー・バイデンはインチキ野郎! 出馬にはふさわしくなかったし、大統領が務まるわけでもなかった!〉
現職大統領に対する敬意のカケラも感じられない罵詈雑言。民主党内からは、痛烈な反発の声が上がり始めているという。全国紙外信部記者が明かす。
「最近のバイデン大統領に、加齢に伴う認知機能の低下が顕著に見られたのは事実。ところが、その様子を口汚く罵ってきたトランプ前大統領も、今年6月に78歳の誕生日を迎えた。仮にトランプ候補が大統領に就任すれば、任期中に米大統領の最高齢記録(81歳)を更新することになる。そのため、民主党内からは『任期満了時は82歳。トランプよ、お前こそ老いぼれ大統領ではないか』との痛罵の声が上がっています」
ちなみに、バイデン大統領が民主党の後継候補に指名したのは、カマラ・ハリス副大統領。彼女は59歳と年齢も若く、初の女性大統領としての期待が膨らむ。皮肉なことに、今度はトランプ候補が老害批判に晒されかねない情勢になってきたのだ。
まさに大ブーメラン。暗殺未遂事件で九死に一生を得たのもつかの間、バイデンの英断で局面は一変するかもしれない。
(石森巌)