マクドナルドといえば、明るいイメージの店舗でリーズナブルにハンバーガーを提供してくれるファーストフード界の象徴だった。ところが、そんな安心ブランドに、相次ぐ「異物混入」が発覚。もはや「おいしい笑顔」などと言っていられない状況だが、報道されているのは氷山の一角にすぎなかった‥‥。都内店舗の元マネージャーが、あまりに不衛生だった販売現場の裏実態を告白する。
マクドナルドの「異物混入騒動」が止まらない。別表のとおり、ビニール片や金属片、果ては人間の歯や針までがバーガーやポテトなどから次々と発見されたと報告されているのだ。騒動が拡大するにつれ、昨年の被害者までが訴え出る始末で、収束の気配は見えない。
マクドナルドは昨年7月、中国産の使用期限切れ鶏肉入りマックナゲットを販売していた事実を公表した。すると翌8月の売上高が前年同月比で25.7%減という大打撃を受けて業績悪化に歯止めがかけられなくなった。昨年12月も同比で21.3%減と回復の兆しすら見えない。そんな中、異物混入騒動でさらなる逆風が吹き荒れている。
日本マクドナルドでOC(オペレーションコンサルタント=担当エリアで複数店舗の店長と連携して売り上げ向上を目指す役職)に就く現役社員が嘆く。
「緘口令が出ているので、あまり申し上げることはできません。ただ、一連の不祥事で最近の落ち込みが著しいのは事実です。とはいえ、実はもうここ数年は徐々に業績を落としていたんですよ。その焦りか、10年にテキサスやニューヨークなど、アメリカのバーガーシリーズを出しましたが全部失敗してしまった。結局、お客様が求めているのはベーシックな商品なので、『普通に営業していれば誰も買わなくなるなんてことはないだろう』という甘い意識があるのも事実ですが‥‥」
日本マクドナルドは、数々の異物混入の苦情を受け、1月7日に謝罪会見を開いたが、サラ・カサノバ社長(49)は欠席。取締役2名が「深くおわび申し上げます」と頭を下げて釈明を続けたが、「異物が混入する事案は起こる可能性があり、広がりがないようなケースは公表していない」などと不祥事の隠蔽を印象づけかねない開き直り発言も飛び出したものだ。故意ではないため、不可抗力だったという認識があったのかもしれない。
しかし、都内のマクドナルド複数店舗での勤務経験がある元マネージャーA氏は首をかしげた。90年代に5年ほど、現場をつぶさに見てきたA氏は、多くの店舗で不衛生な食品管理が行われていた実情についてこう証言するのだ。
「厨房内でゴキブリを見ることが当たり前でしたね。カウンターで動く姿を見つけたクルー(バイトスタッフ)がおしぼりでバンッと叩き潰して、捨てたら手も洗わず業務を続けるなんて日常茶飯事。今となっては信じられないことですが、ポテトやナゲットを揚げるフライヤーの中にゴキブリが浮いていたことも珍しくありません。小さいのはもちろん、鬼のようにでかいのもいた。月1ぐらいでそんな場面に遭遇していたと思います。ポテトを引き揚げた時、他のスタッフに『いたよ』と小さい声で報告をしたりはしますが、その山からゴキブリを取り除いたら、ポテトはお客さんに提供していた」
こうしたケースでは客が購入した際には食品に異物が混入していた形跡は残らない。抗議を受けることもない、まさに裏実態である。