夏本番! といっても、今年の夏もまた酷暑が続いていますね。私、古瀬絵理も体力には自信のある方ですが、さすがに日中はクタクタ。自宅に帰ってお風呂上がりの火照った体をクーラーで冷やしつつ、グイッと一杯やるのが楽しみです。
20歳の頃からお酒を嗜むようになり、気がつけば酒豪という部類に入っていたのではないかと思います(笑)。男性と飲んでいてもたいてい先方が酔い潰れてしまいます。だから送りオオカミなんぞには出会ったこともなく、逆に私の方が「住所言えますか? じゃあ、ちゃんと降りる時に運転手さんに伝えてくださいね! お疲れ様でした!」と、タクシーに乗せてお見送りをする係でした(笑)。
一人暮らしをしていた頃は好きな銘柄の一升瓶がポンポンと並んでいた時期もありましたが、さすがに結婚、出産後はちびりちびりと焼酎のロックをいただいています。
焼酎は翌日に残らないところがいいですね。芋も米も麦も全部好き。
最近のオススメは熊本県球磨郡にある「堤酒造」から発売されている「極上堤」という焼酎で、1つの樽から汲み出した原酒をそのまま瓶に詰めたというちょっと変わった高級焼酎です。スモーキーで芳醇な香りとコクの豊かな深い味わいで、とてもおいしいんですよ。瓶にはそれぞれ貯蔵されていた樽のナンバーが記されています。そんなに数は作っていないそうなので、お酒が本当に好きでじっくり味わって愉しまれる方に差し上げるのにはピッタリのお酒だと思います。
日常生活で私がよく飲んでいるのは麦焼酎の「兼八」。独特の麦チョコのようなコクがおいしくて、飲んでいても飽きないんです。
他には、少し手に入りにくいですが、黒糖焼酎の「長雲 一番橋」というもの。奄美大島のお酒なのですが、黒糖の深い甘さがクセになります。黒糖をちょっとかじりながらいただくと、さらにおいしくなりますよ。
日本酒も好きです。今の時期、冷蔵庫で冷やしたグラスで冷酒をクイッといきたいですよね。最近飲んでおいしかったのは、地元・山形の「出羽桜酒造」から出ている「純米吟醸酒 花酵母 プリンセス・ミチコ」ですね。「プリンセス・ミチコ」は美智子上皇后陛下が皇太子妃時代にイギリスから献上されたバラとして有名ですが、その「花酵母」で仕込んだ純米吟醸酒です。
芳しくて華やかな香りなのですが、飲んだ時にピリッと辛みがあっておいしかった。これはリピートで買いたいと思っているお酒です。
アテには簡単にちゃちゃっと作れるものが多くて、レシピとまでは言えないものばかりなのですが、ビニール袋の中にキュウリを乱切りにして入れて、ごま油と塩だけで少し揉み込んだ即席漬けは「何かない?」という時、よく夫に出します。あとは、醤油麴を自宅で作っているのですけど、これも簡単! 麴に醤油を入れて1週間から10日ぐらい置くだけでできるんです。お肉を焼いてちょっと砂糖と一緒に加えるだけで絶品の肉料理に仕上がるんですよ。お魚ではブリの照り焼きに醤油麴を使うと2ランクぐらい味がアップします。醤油麴は市販のものも売っていますので、もちろんそちらを使ってもいいと思います。
うちは父がよくお酒を飲む方で強いんですよ。父とは帰省した時などに一緒に飲んで楽しい時間を過ごしています。
不思議なものですよね、思春期の頃はあんなに嫌いだったのに(苦笑)。お嬢さんをお持ちの読者の方でしたら経験がおありかと思いますが、女性って10代の半ば頃、父親のことを生理的に受け付けなくなることがあるんです。洗濯ものを一緒にしてほしくないとか‥‥。
私の場合、高校生の時期が一番、父に対してひどく当たっていた頃でしたね。「見るな」とか言っていましたから。今、考えてもとても可哀想なことを言ってしまったなと(笑)。
喧嘩をすることはなかったけれど、一方的に私が無視をするような感じでした。
そのくせ、うちは山形の電車の本数がすごく少ない場所だったので、毎朝の登下校時は父に駅まで車で送り迎えをしてもらっていたんです。車中でも、「もっと早くスピード出せないの!?」とか、「そこ、曲がらないで」だの、「ここをまっすぐ行って!」だの、色々と難癖をつけたりする私の横で、父は1度だって怒ることなく、いつもニコニコしながらハンドルを握っていました。
塾の帰りを待つ間も私の好きそうなパンやお菓子を買っておいてくれるのですが、1度、「おいしい」と言ったものが必ずまた袋に入っているんですよね(笑)。
山形の冬は厳寒です。父は一足先に車に乗って、私のために車内を暖めていてくれました。その時期の父の心境を思うと気の毒でならないですが、父は母にこう話していたそうです。「いずれ帰ってくるから」と‥‥。
それから数年が経ち、私が上京して一人暮らしをする時に、父だけ引っ越しの手伝いで来てくれたことがあったんです。その時ですね、初めて父と2人でお酒を酌み交わしたのは。
近所のうどん屋さんで天ぷらをつまみながら、日本酒かビールかは忘れてしまったんですけれど、一緒に飲みました。それが父にとってはとてもうれしかったようで、帰ってから母に「初めて絵理と2人で飲んだんだ。子供と酒を飲めるっていうのは本当に楽しいもんだな」と語っていたらしくて。それを聞いた私自身もようやく父に対して素直になれたというか、少しばかり親孝行ができたのかなと。そこで初めて父との関係を振り返りました。
今では私にとって最高の飲み友達です(笑)
古瀬絵理(ふるせ・えり)78年、山形県生まれ。00年よりNHK山形にて情報番組のキャスターとして活躍。「スイカップ」というニックネームでフリーに転身後、11年に結婚し、一児の母に。イベント司会などをこなす傍ら、温泉、登山、日本酒など趣味多彩。最近のマイブームは麻雀。