元女性騎手の細江純子氏が「言葉がない」と絶句していたが、このところ若手騎手の素行の悪さが目立っている。
JRAは8月2日、松若風馬騎手(栗東・フリー)に騎乗停止処分を科したと発表したが、理由は同日深夜、滋賀県草津市内で酒気帯び運転による物損事故で、滋賀県警に検挙されたからだ。
また同日、角田大河騎手(栗東・石橋守厩舎)にも騎乗停止処分が科せられた。角田騎手は1日夜間、函館競馬場の馬場内に「花火を見るため」に自身が運転する自動車で侵入し、芝コースを損傷させたのだという。
両者とも3日、4日の騎乗馬は他の騎手に乗り替わり、今後はJRAの裁定委員会により騎乗停止期間などが決まる。競馬記者が怒りで唇を噛みしめる。
「2人ともリーディングで30位台と中堅騎手として活躍していました。逆に言えば、上にも下にも行く位置ですから、もっと頑張らなくてはいけない立場です。それがこんな体たらくでは開いた口がふさがりません。松若の酒気帯び運転は完全に犯罪ですから言語道断ですし、角田は昨年、スマホの不適切仕様で処分された若手騎手6人のうちの1人でした。その後、反省した永島騎手などは成績を伸ばしていますが、角田は競馬サークルの人間としてありえない行動です。2人がどのくらいの処罰を受けるか未定ですが、世間では一般社会と比較して騎手の処罰は軽すぎる、甘すぎると酷評さています。今回は『ただの夏休みじゃないか』なんて言われないように、お灸を据えるべき。本来なら、追放だってありえるレベルです」
しかし、競馬の世界で「ダメ人間」は若手だけではなかった。
7月末には大井競馬所属の大ベテラン、的場文男が金銭トラブルで4日間騎乗停止となり、ファンをあきれさせたが、今度は愛知県にとんでもないベテラン騎手が現れたのだ。
愛知県競馬組合が7月30日に、47歳の岡部誠騎手に開催日8日間(8月6日~16日)の騎乗停止や戒告処分を発表したのだが、この内容が酷かった。
「他騎手への粗暴な行為やハラスメント、調教師、主催者職員、馬場管理係員へのハラスメント、女性厩務員に対するセクハラと、まさに悪行のデパートのような感じです。これでたったの開催8日間の騎乗停止では、SNS上で『ただの休暇』『甘々すぎて辟易する』と猛批判でしたが、その通りですね。この処分は世間一般では絶対に理解されません。競馬界の常識と世間の感覚があまりに乖離することは、今後の発展に支障をきたす可能性が高い」(前出・競馬記者)
社会人としてのルールから逸走するような口向きの悪い騎手には、どうやらムチの連打が必要なようだ。
(宮村仁)