「過保護すぎてウンザリ」「今回は仕方ないよ」…ファンのせめぎ合いが繰り広げられたのが、8月15日にエスコンフィールドHOKKAIDOで行われた、日本ハム-ロッテの一戦だ。
問題のシーンは2回裏1死での日本ハムの攻撃、ロッテ先発の佐々木朗希が淺間大基に投じた3球目のストレートを打ち返されると、打球が佐々木の左足首付近を直撃。手当てのために一旦ベンチ裏に下がり、その後マウンドに戻り投球練習を行ったものの、あっさりと交代を告げられた。
結果、この緊急降板が響きロッテは1-6で敗れ、3位転落と痛い星を落とした。だが、投手の足に打球の直撃ということで、本来なら「降板やむなし」である。
この降板について、佐々木本人は「投球は何とかいけそうだったんですけど、それ以外のプレーができなそうだったので、総合的な判断です」と話し、ロッテの吉井理人監督は「本人はいけると言ったんですが、当たっている箇所がアキレス腱で、もし走ったときに大けがになる可能性があるので、トレーナーの判断で降板になった」と説明し、両者の見解は一致していた。
だが、試合後のファンの雰囲気は明らかに違っていた。スポーツライターが話す。
「アキレス腱付近に打球直撃はあきらかに不運ですが、ファンの反応は『また投げれないのかよ』という感じです。佐々木は8月1日に約2カ月ぶりに復帰したばかりで、2位争いが激しい中、これからは大車輪の活躍を期待されていました。ところが復帰3試合目で緊急降板です。打球直撃云々より、いつまで経っても計算できない佐々木の存在にイラつくファンがますます増えているというわけです」
緊急降板の佐々木を批判する人たちに対しては「今回はケガだから仕方ない」とたしなめる人はいたが、しかし2位と3位がぶつかる重要な一戦だっただけに、佐々木に「投げます」と男気を見せてほしかったと失望するファンが少なくなかった。
期待を裏切るたびにバッシングの対象となっている佐々木だが、加えて、この日の吉井監督のコメントに佐々木アンチを刺激する「相変わらずの過保護ぶり」が見えたという。
「吉井監督が説明の冒頭で『本人は行けると言ったんですけど…』と話しました。これが明らかに最近の佐々木バッシングを意識してのものだという見解が多い。確かに、わざわざ監督が降板理由の説明の初っ端に言うことではありません。また、相手の新庄監督までが『アクシデントは怖い』『当たりどころはちょっと悪かったんで痛かったんでしょう』と、やはり佐々木の降板について言及していました。首脳陣たちにここまで気を遣わせる存在とは何なんだというわけです」(前出・スポーツライター)
すでに「もう二度と投げないんじゃないの」と、匙を投げているロッテファンがいるのがリアルな現実だろう。
先発投手は1週間に一度、6イニング投げればヨシとされる時代に、それさえ満足にできない「腫れ物エース」への過保護ぶりが悪目立ちしてしまうのは、それこそ「総合的に仕方ない」のかもしれない。
(田村元希)