候補者が乱立する自民党総裁選。ここにきて突如、有力候補として認知され始めたのが、大蔵省財務官僚出身で旧二階派の小林鷹之氏だ。
石破茂氏、高市早苗氏…など、国民がよく知る名前が候補者に並ぶ中、お茶の間では「小林って誰?」と話題になりつつある。候補者の中では若い49歳という年齢が世間の興味を引いていることは間違いないが、長老だけでなく若手議員たちの後押しがあることから、「自民党を変える男」として期待が高まっている。
また、本人が保守派を打ち出していることでその層の支持者から受け入れられる可能性も高いと言われているのだが…。しかし知名度が上がった瞬間、落とし穴は見つかるもの。ここに来て、あの旧統一教会との関係がクローズアップされてしまったことで、一気に「総理にふさわしいわけがない」とドン引きしているにわか層が出てしまった。週刊誌記者が説明する。
「地元の千葉の有権者の間では有名な話ですが、2018年と2021年に教団の友好団体UPF(天宙平和連合)が主催団体に名前を連ねるイベントに出席したことが、一部報道で明らかになっています。2021年の『PEACE ROAD 2021 in CHIBA』では、複数の教会関係者と笑顔で記念写真に収まる画像が出回っていますが、集団の中央に座り、完全なVIP待遇ですね。以前から教団とのズブズブな関係は疑われていましたし、今度の総裁選で小林氏の名前が挙がった瞬間、地元では反対する人がいたというのが実情です。はたして、そんな人物が旧態依然とした自民党を変えられるのかと疑問の声が出るのは当然でしょう」
7月の東京都知事選で石丸伸二氏が躍進したように、特にネット民は若い次世代候補を推す傾向にある。実は小林氏に関してはそのムードが少なからずあったというが、教団との蜜月画像が出回ると「なんだ、小林は壺議員か…」と、期待が失笑へと変わりつつある。
一方で、旧統一教会との問題に決着をつける意気込みがあるなら…という前向きな声があるのは確かだが、小林氏の会見でのひと言が、それを失望へと変えてしまった。
「8月19日の国会内の記者会見で小林氏は、旧統一教会のイベントに参加した際に教義に共感を示す発言をしていたことを問われると『ご指摘いただいたような発言をした記憶は一切ありません』と発言しました。実は、教団との関係を指摘された2年前の会見でも『一言一句は覚えていないが、発言はしていないと思う』と言っています。今回は総裁選ですから、さらに強く『記憶が一切ない』と語気を強めた印象ですが、自民党のお家芸といえる『記憶がない』を早くも使ったことに『ロクなもんじゃない』『ちょっと無理』と、不合格を突き付けられた形です」(前出・週刊誌記者)
小林氏自身は会見で、教団への選挙依頼や金銭のやり取りを改めて否定し「現在も当然、関わり合いはないし、今後も持つつもりはないし、そうならないようにしっかりと気をつけていきたい」と強調していたが…。
それでも小林氏の発言によって「記憶にない」が再びトレンド入りする中、「総理は記憶のある人にお願いしたい」という国民の意見だけは、確実に正しいと断言できよう。
(北山陽向)