社会

猫見知りの猫も安心…ペットホテルでも知人宅でもない「猫の預け先」/「猫シッター」のお仕事①

 LINEでこんな請求が送られてきた。「1時間コース2700円×2=5400円、追加分500円×2=1000円、合計6400円」。風俗の請求にしては安すぎる。ホテルでマッサージ代を呼んだ時の料金? 追加はオプションか?

 数字だけを見るとそんなふうに想像するしかないが、これは我が家で飼っている3匹の猫の「猫シッター」に払う基本料金だ。

 猫シッター…猫を飼っている人であっても、その内容をあまりわかっていないと思う。「猫のためにシッターなんか雇うのか」とか「どれだけ余裕があるのか」などと言われてしまうことがあるくらいだ。

 しかし猫を飼い始めると、何日も遠出した時、田舎の冠婚葬祭などに一家で出かける時など、猫をどうするかは一様に頭を抱える問題である。

 隣り近所、友人、知人らに家に来てもらうことも考えられる。だが毎回、そんな都合がいい人はいないし、他人を家に入れたくない、不安だという人もいる。来てもらうのではなく、知人宅などに連れて行き、帰ってから引き取りに行く方法もあるが、それはそれで手間がかかる。

 そこでまず考えられるのは、ペットホテルに預けること。どれくらいかかるかスマホで調べてみると、1匹3000円から7000円程度で、2匹目からはプラス1000円とか。あくまでも目安であり、相当なばらつきがあるが。しかし猫の場合、家でも抱っこされない個体はホテルに連れて行くのも大変だとか、猫見知りの猫も多く、慣れない環境に置くのがかわいそうだとして、諦める人は多い。

 それなら猫シッターに来てもらおう。というので、利用者は増えている。ホテルがいいか、猫シッターにお願いするかは、どちらにもメリット、デメリットがある。一概にどちらがいいとは言えないが、我が家の3匹の猫について書いてみようと思う。

 最初に我が家にやって来たのは2011年、東日本大震災の時に捨てられた、もしくは迷子になって近所で泣いていたジュテ(写真)。この時はまだ1匹なので、1週間程度、留守するにたび、3回にわたってそれぞれ別の知人に預かってもらった。

 面白かったエピソードがある。友人も1匹飼っており、ジュテはお友達ができて楽しそうにしていたらしい。ところが迎えに行くと、すぐに駆け寄ってから、友人の猫に向かって突然、怒った時にやる猫の動作「シャー」を一発カマしたのだ。

 つまり、預かってもらっている間は肩身が狭い思いで、借りてきた猫になっていたが、パパとママが迎えに来たのがわかった途端に、本性を現したわけである。「ジュテ、寂しかったの?」とみんなで大笑いだ。

 2回目は、猫のいない家に預かってもらった。事件が起きたのは、迎えに行ってからタクシーで連れて帰り、降りようとした時だ。ジュテが入っているキャリーバッグを抱っこしていたのだが、生暖かいものを感じ、ハッとした。しかも、臭い。やはりオシッコだった。知人宅でずっと我慢していたとも考えられるが、これはおそらく、何日も置いてきぼりにされたことへの、ジュテなりの抗議だった。ジュテは朝から1日家を空けた時は帰宅すると不機嫌で、プイッといなくなってしまうことがある。この時も、あの怒った感じだったのだ。

 急いで家に入り、ティッシュと消臭スプレーなどを取ってきてタクシーのシートを拭く。運転手に多めにお金を渡して、平謝りだった。

 おとなしくて従順なジュテでもこんな状態だから、マンションから戸建てに引っ越して2匹、3匹と増えてからは、預かってもらうのは無理だと諦めた。

 2匹目のガトーがやって来た時に、もうひとつの選択肢、ペットホテルを利用することも考えた。ホテルのパンフレットを見ると、狭い部屋に猫がいる様子が写っていた。それを見た連れ合いのゆっちゃんは、

「ジュテもガトーもおとなしいけど、猫は環境が変わるのに弱いというし、他の猫と接触した時に大丈夫かしら。ケージにずっと入れておかれるのもかわいそうだし。気づまり、窮屈な思いをするんじゃないかな」

 と気乗りしない様子。

 そこで、保護猫のガトーを紹介してくれたMさんに相談してみた。

「それなら私が不在の時にお願いしている猫シッターさんがいるから、紹介しましょうか」

「猫シッター、そんな人がいるんですか」

 すぐに猫シッターのSさんを紹介してもらい、以来、ずっとお世話になっている。Sさんは最初は猫シッターの店にいたが、独立して個人で猫の世話を請け負っている。

 次回は猫シッターがどんなことをやってくれるのか、詳しく紹介する。

(峯田淳/コラムニスト)

カテゴリー: 社会   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
長与千種がカミングアウト「恋愛禁止」を破ったクラッシュ・ギャルズ時代「夜のリング外試合」の相手
2
暴投王・藤浪晋太郎「もうメジャーも日本も難しい」窮地で「バウアーのようにメキシコへ行け」
3
日本と同じ「ずんぐり体型」アルプス山脈地帯に潜む「ヨーロッパ版ツチノコ」は猛毒を吐く
4
侍ジャパン「プレミア12」で際立った広島・坂倉将吾とロッテ・佐藤都志也「決定的な捕手力の差」
5
怒り爆発の高木豊「愚の骨頂!クライマックスなんかもうやめろ!」高田繁に猛反論