サッカー元日本代表で、2018年のW杯ロシア大会で活躍した昌子源が、播戸竜二氏のYouTubeチャンネルに出演し、ロシア大会の秘話を明らかにした。
昌子が最も印象に残っているのはFWの岡崎慎司だったといい、岡崎は足首の状態がよくないままメンバー入り。
「普通だったら『今、無理するところじゃないよ』ってサッカー選手は言う。岡ちゃんに大丈夫か聞いて、今無理するところではないと言ったら、岡ちゃんが『お前、アホか。この大会で無理しなきゃ、なんのために4年間やってきた』って言ったんです。人生というか、魂かけてやらないと、と思った」
岡崎の決断に心打たれたのだった。
セネガル戦のオフサイドトラップも、いまだ忘れられないという。日本はグループリーグの第2戦セネガル戦の前半終了間際、相手のフリーキックでDFラインを上げ、オフサイドを獲得。このプレーは世界中のメディアに称賛された。しかし、選手は半信半疑だったと、昌子は振り返った。
「練習でも『本当にやるんですか』とハセさん(長谷部誠)や(吉田)麻也君とかも(心配していた)。(西野朗監督は)『やる』って言って、試合前のミーティングでも、1本目のあの位置のFKだったら必ずやれ、と。『やらない』とかない、と。試合でハセさんも麻也君も『やる?』って一瞬なったんですけど、監督が言ってるからやろう。やったらオフサイドになった。あの舞台であれをやらせるメンタル。勝負師ですよ」
西野監督はグループリーグ最終戦のポーランド戦で、残り10分からボール回しを指示。0-1で試合を終わらせ、決勝トーナメントに進出するギャンブルを行った。日本に対しブーイングが浴びせられたが、昌子はその時をこう振り返った。
「浴びたことがないブーイングの種類だった。ポーランドと日本じゃない人もいっぱいいた。異様っていうか。敵としての僕らに向けられたブーイングの威圧じゃない。完全に否定されたようなブーイング。西野さんがあの決断をしたのはすごい」
その結果、日本代表は決勝トーナメントに進出する。その裏には岡崎の決断と、西野監督の指示があったのだ。
(鈴木誠)