「欽ちゃんの週刊欽曜日」は、1982年から1985年まで放送された、萩本欽一の公開バラエティー番組だ。風見しんご(当時は慎吾)、小西博之、佐藤B作、清水善三、清水由貴子らで結成したコミックバンド「欽ちゃんバンド」が好評だった。
その「欽ちゃんバンド」のメンバーになるはずだった男がいる。現在は司会者、タレントとして活躍中の中山秀征だ。関根勤のYouTubeチャンネル〈関根勤チャンネル〉に出演した中山は、高校2年生で群馬県から上京した16歳当時を振り返った。
「(風見)しんごさんがご卒業するって話があって、しんごさんの枠のオーディションがあったんですよ。受けて、最後の1人になったんです」
見事に合格を勝ち取り、次週のゲスト・松田聖子の「赤いスイートピー」に間に合うよう、触ったこともないトランペットをひと晩で吹けるようにと猛練習。なんとか音が出るようになり、ホッとしたのも束の間。数日後、プロデューサーから電話が入る。
「ごめんなさい。実は風見さんがお辞めにならないということで、たいへん申し訳ないんですけれども、今回の話はなかったことに」
中山は悲哀たっぷりにその時の様子を語る。
「ガクーンって。どっと疲れが出るって、こういうことなんですね。天と地というか、天国と地獄というか…」
欽ちゃんファミリーの関根ですら「知らなかった」という風見の「番組降板」騒動。とんだトバッチリを受ける形となった中山は1985年、松野大介(現在は小説家)とお笑いコンビ「ABブラザーズ」を結成する。 これがアイドル的人気を獲得し、「東京ラブストーリー」(フジテレビ系)、「デパート!夏物語」(TBS系)といった人気ドラマに出演することに。1992年には「DAISUKI!」(日本テレビ系)で松本明子、飯島直子と軽妙なトークを繰り広げ、深夜帯にもかかわらず最高視聴率14.7%(関東地区)を記録した。
司会業が充実している現在の活躍を見れば、オーディション事件がいいバネになったとも思えるのだ。
(所ひで/ユーチューブライター)