河野太郎デジタル担当相というと、外相時代の2018年12月の記者会見でロシアとの平和条約締結交渉をめぐる質問に対し「次の質問どうぞ」と4回連続で繰り返すなど、記者に対する挑戦的な姿勢で知られる。
8月26日の自民党総裁選出馬会見では丁寧に答えるなど、「ニュー太郎」を印象づけようとしたが、自己弁護の姿勢は変わらなかった。
冒頭で外相、防衛相、デジタル担当相としての「実積」を強調した河野氏だったが、質疑応答で河野氏の「資質」を正面から問いただしたのは、朝日新聞記者だった。
「大臣はこれまでツイッター(現X)で一般人をブロックしたり、国会答弁で『所管外』という答えを連発してきましたが、総理の資質としてふさわしいのかどうか」
河野氏はまず、昨年2月の衆院予算委員会で「所管外」を12連発したことから答えた。
「ある議員が、本来その委員会の所管でない質問を連発されましたので、それはもう当然、所管ではありませんから、そこは所管外ですとお答えする以外には方法がございません。明らかな印象操作ととられるような、卑劣な行為はやめていただきたいというふうに思っております」
続いてXなどの交流サイト(SNS)で受信拒否を行い、「ブロック太郎」などと評されていることについては、
「(誹謗中傷について)法的な手段に訴えることもあるのかもしれませんが、もうひとつ簡単にできるのは、誹謗中傷する人をブロックするということなんだと思います。ブロックしたことを、ブロックしてなんだと言って批判をするのはおかしいということも、声を大にして申し上げたいと思います」
河野氏が自身の行為をいくら正当化しようとしても、指導者としては「狭量」との印象は、自民党内に浸透している。総裁選の世論調査でも、同じ「小石河」の小泉進次郎元環境相や石破茂元幹事長と比べて、河野氏に対する支持は低い。このままでは決選投票に残るのは厳しい。そのためか、この日の会見では河野氏らしい歯切れのよさは感じられなかった。
(奈良原徹/政治ジャーナリスト)