公職選挙法違反の罪で起訴された柿沢未途被告(自民党を離党)の辞職に伴う衆院東京15区(江東区)の補欠選挙(4月28日投開票)に、日本保守党からの出馬を発表した麗澤大学客員教授、飯山陽(あかり)氏の発言が波紋を広げている。
飯山氏は出馬表明後の街頭演説で、こう語った。
「有本(香・党事務総長)さんに『出ろ』と言われたら出ないといけない。そういう状況に追い込まれ、よくわかんないけど、支部長になってしまいました」
この発言をそのまま読み取ると、飯山氏自身は出馬するつもりはなかったが、代表の百田尚樹氏と有本氏から依頼されて、しぶしぶ出馬に踏み切ったことになる。
日本保守党は昨年12月、令和6年以降の国政選挙、地方選挙に関し、候補者の公募を始めていた。当然、東京15区の補選も公募対象となっていたはずだ。有本氏の2月15日のXへの投稿を見ると、
〈オンライン面談、本日の部が先ほど終わりました。さすがに少し疲れましたが、海のものとも山のものとも分からない団体の公募に応募してくださった皆様には感謝しかありません。ありがとうございました〉
百田氏は3月5日の記者会見で、記者団から小池百合子都知事の同補選への出馬がウワサされていることについて問われると、
「小池都知事が出てきたら、ぜひ私は小池都知事と飯山さんのアラビア語対決をやってもらいたいなと思ってます」
イスラム思想研究家でアラビア語の通訳者としても知られる飯山氏と、カイロ大学に通った小池氏のアラビア語対決を期待した。
つまりは公募候補よりも、知名度のある飯山氏を優先したということになる。
さる江東区議が言う。
「2カ月足らずしかない選挙戦であり、日本保守党は江東区に何の基盤も持っていない。無名の候補を出すよりも、アラビア語使いで話題性のある飯山氏を一本釣りしたということでしょう。ただ、飯山氏はネットの世界で名前は知られていても、一般的な知名度はない。泡沫候補に終わるのか、それとも百田氏らの力もあって化けるのか、注目したい」
(奈良原徹/政治ジャーナリスト)