先の名古屋場所で10勝を挙げた平戸海が、秋場所(9月8日初日)では据え置きの西小結となった。相撲ライターがこの番付を解説する。
「本来なら関脇でもよかったんですが、大関陥落組が2人いるだけに、やむをえない。初の三賞となる技能賞を受賞したことだし、内心は複雑だと思いますよ。ただ、大関獲りの起点はできた。三役で3場所33勝が目安となるので、あとは審判部を唸らせる実績を作るしかない」
最近の相撲界では少なくなった、中卒叩き上げ。力を付けてきていると浸透してきたのか、関取衆との申し合いでも買ってもらえるようになった。
平戸海の持ち味は、立ち合いの当たりだ。今年の夏場所8日目では、小結・大の里と対戦した。178センチ138キロの平戸海は巨漢の大の里と比べると、ひと回り以上も小さい。
ところが大の里の胸板めがけて頭からぶちかますと、そのまま押し出してしまったのだ。前出の相撲ライターが言う。
「大の里は夏場所の優勝力士。それを圧倒するなんて驚きました。日体大を卒業し、学生横綱、アマ横綱のタイトルをもぎとった巨漢の大の里。それに対して、中卒で体力的にも恵まれない平戸海。この一番に平戸海の意地と大関昇進への強い気持ちを見ました」
平戸海は名古屋場所でも大の里を破っている。秋場所は大の里の大関昇進が見どころのひとつになるが、2人の対戦が大の里の大関昇進を占う重要な取り組みになるのは間違いない。
(蓮見茂)