カブスの鈴木誠也がメジャー3年目で、ついにナ・リーグ最強外野手になった。
8月28日のパイレーツ戦には3番・DHでスタメン出場。9回の第5打席は先頭打者として左前打で出塁し、逆転劇の口火を切った。さらにこの回、2度目となる第6打席ではダメ押しのタイムリーを放つなど、チームの大逆転勝利に貢献。5打数2安打1四球1打点で打率を2割7分8厘とした。
この日の活躍などもあり、チームの得点にどれくらい貢献できているかを示すOPS(打撃指標数)は.843に上昇。ナ・リーグの外野手としては、パドレスのプロファーの.850に次ぐ数字である。
鈴木は直近6試合で28打数13安打、打率4割6分4厘、3本塁打、8打点の大暴れ。メジャー3年目ですっかりチームの顔に成長したが、ドジャースの大谷翔平とは対照的に、つぶさには伝えられていない。事実、この日の日本のメディアのほとんどは鈴木ではなく、大谷の愛犬デコピンの始球式ばかりを大々的に報じている。
大谷があまりに異次元の活躍をするため、鈴木は過小評価されがちだが、メジャー3年目までのWAR(投打守備の総合指標)は鈴木の方が上。本塁打が19本と少ないため、せめて30本を超えればメディアの注目度は一気に上がることだろう。シーズンを通して成績に波があるのが玉に瑕ながら、下がっても必ず持ち直してくるのが鈴木の強みだ。
実は鈴木にとって「障壁」となっているのは、ワースト2位の「誤審率」だ。MLBではストライクゾーンを可視化し、球審の判定は全球がデータ化される。今季、鈴木がボールゾーンをストライクと判定された割合は6.1%。これは大谷の2.9%と比較して2倍以上も高く、MLB全体の平均4.2%よりも上だ。いかに鈴木が誤審に泣かされているかがわかるだろう。
大谷は明るく気さくな性格で、チームメイトだけでなく、球審受けもいい。鈴木も広島時代のごとき性格で、球審とのコミュニケーションが増えていけば誤審率は減少し、おのずと本塁打や打点が増えていくのではないだろうか。
今季は残りわずかとなったが、鈴木の活躍がトップ報道される日が増えることを期待したい。
(ケン高田)