今季まだ一度も1軍マウンドに立っていない楽天・田中将大の「見切り発車」が濃厚だ。
9月4日に行われたイースタン・リーグのDeNA戦(横須賀)に先発すると、6回2/3を102球で8安打2失点、7奪三振の投球内容だった。2軍では今季4度目の登板でイニング数、球数ともに最多だが、球団関係者によると、
「今回の登板までの3試合で0勝2敗、防御率5.23と散々だった。それに比べれば最速145キロは超えていたし、一歩前進。ただ、本音を言えば、現状ではとても1軍で投げさせるレベルには達していない状態」
それでも球団では、早ければ9月中旬に1軍に引き上げるプランが進行しているというのだ。スポーツ紙遊軍記者がその背景を説明する。
「リーグ優勝は無理としても今後、楽天にとってクライマックス・シリーズに出場できる3位以内の確保に向けて、負けられない試合が続く。本来ならもう少し状態が上向きになるまで待ちたいところですが、そうも言っていられない状況にあります」
その状況について、仙台の放送局関係者があとを引き取って言う。
「そればズバリ、マー君の契約問題です。普通に考えれば、2億6000万円もの年俸をもらっているのに、1軍登板なしでは来季の契約はなかなか難しくなる。でも、マー君ですからね。万が一、契約更改をしないとなると、ファンやスポンサーは大騒ぎになる。球団としては、保持しているFA権を今オフに行使して、人気目当ての他球団と契約してもらいたい…それが本音でしょう。ただ、現状では厳しい。少しでも1軍で通用するところを見せて、興味を示す球団が出てくるのを願っているという…」
日米通算200勝までわずか3勝だが、過去に長谷川良平(広島)の197勝を筆頭に、わずかに200勝に到達しなかった名投手は多く、「残念名球会」などと呼ばれている。「名球会」か、それとも「残念名球会」か。その結論が出るまで、そう長くは待たないだろう。
(阿部勝彦)