大阪の飲食店などが加盟する「大阪外食産業協会」は、深刻化する人手不足に対応するため、飲食店同士が従業員を融通し合う実証実験を開始した。
登録している店が人手不足に陥った際、アプリで「ヘルプ」を発信すると、シフトに余裕がある他の飲食店から従業員が派遣される仕組みであり、派遣された従業員の給与は、要請した店が負担することになる。全国的に人手不足が深刻化しているが、これは居酒屋やレストランなどに限った問題ではない。
夜の業界でも慢性的な人手不足に苦しんでおり、
「適切にヘルプを依頼できるシステムが存在しない」
と語るのは、大阪市内のクラブのママである。
「クラブやスナックを対象にした夜の店向けの派遣サービスは存在しますが、当日の午後までに依頼しなければならない点がネックなんです。ホステスの中には昼間の仕事をしている子が多く、残業などで急に出勤できなくなることがあります。そのため、営業開始直前や営業中に当日欠勤の連絡が入ることも。ところが派遣の依頼時間を過ぎているため、結局は人手が足りないまま営業するしかないのが現状です」
かつては親しい店から従業員を派遣してもらうことがあったが、現在ではどの店も人手不足に悩んでおり、それは難しくなっていると、このクラブママは続ける。
「昔に比べて水商売の間でのつながりが薄れてきた、というのも一因です。コロナ禍で昔気質のママが引退してから、若いママが増えたことが影響していると思いますね。ガールズバーやコンセプトカフェの増加も、クラブやスナックの人手不足に拍車をかけています」
夜の業界にも急な人手不足に対応できるシステムがあればいいのだが、実現は難しいのかもしれない。
(カワノアユミ)