マッチングアプリを悪用して男性ユーザーから大金をむしり取るのはボッタクリ業者や美人局に限らない。大阪・北新地で横行しているホステスの“偽装客引き”の被害者が狡猾手口を明かす。
「マッチングアプリで出会った40代の女性とようやくデートに漕ぎ着けたと思ったら、実は同伴目当てのホステスでした。食事中にその事実を明かされて、お店を出ると腕を組んでなかば強制的に同伴。最終的に北新地のラウンジでシャンパンまで入れることになり、10万円以上の料金を支払いました」
こう語る40代後半の会社役員Aさんによれば、似たような手口でラウンジに誘い込まれ、「騙された」と憤る被害者が多数いるという。北新地のベテラン黒服が警鐘を鳴らす。
「昔のラウンジは大抵ノルマがあって、月5回の同伴を達成できないホステスには罰金。給料から天引きされていた。さらにコロナ禍以降、安キャバで導入されていた“出勤制限”を北新地でも導入し、同伴もできない底辺ホステスとなると週2、3回の出勤に制限されている。そこで出勤日を増やすために、マッチングアプリで客引きをするホステスが増えたのです」
マッチングアプリで本命のパートナーを探すホステスは「2割程度」と指摘する声もあるが、実際は「同伴」もしくは「パパ活」を目的にしたものが大半。大手アプリ「P」で何度か同じ被害に遭遇した50代の自営業者Bさんもこう語る。
「年齢が35歳以上で、職種の欄に『サービス業』と登録し、派手な格好や着物の自撮りは怪しい部類。高級シャンパンなどの画像が紛れていればホステスの可能性が高い。メッセンジャーで先に職業を聞いてから会うべきですね。聞けば夜の商売と答えますし、みんな『プライベートでやっている』と回答する。ただし、この段階では『お店に来て』とは絶対に言いませんよ(笑)」
特徴的なのは男を値踏みする態度だと前出の2人は声をそろえる。ミシュラン店や有名店での会食の有無を聞き出して、生活レベルを推測。初めて会ったその日に、「キチンとしたお手当くれるなら愛人になってもいいですよ」と持ちかける女性もいるそうだ。
「ホステスで売れているなら男のあしらい方だってうまいはずなんだけど、下手だからマッチングアプリで客引きをする。高級クラブの女性は絶対にいないし、聞いたこともないミニクラブとかラウンジ嬢ばかり。愛人契約が無理だとわかると、作戦を変更するんでしょう。夜の8時前後からソワソワし始めて『今日、お店行かなアカンねん』と言い出す。同伴ができないと遅刻扱いになるから必死ですよ」(Bさん)
おそらく店側に「今日は同伴」と報告しているのだろう。事前に「同伴ではない」と言質を取っていても執拗に食い下がるとか。
「以前、騙し討ちのように同伴を求められた時は、新規開拓だと割り切ってお店に行ったこともあります。ただね、熟女ホステスが囲い込んで、必死にシャンパンを下ろさせようとする。そんな態度に気分を害して30分で退店をしました。それ以降、泣き言を言われようが逆ギレされようが、同伴は一切拒否。『同伴ちゃうと約束してたやん』と振り切って、知り合いのクラブに行ってます(笑)」(Bさん)
北新地は高級店ほどにぎわい、中流店となると客の入りもまだら模様。底辺のホステスには厳しい冬が続きそうだ。