元は多くの選手が甲子園球場で躍動した高校球児だったとは思えないほど、プロ野球セ・リーグの中日ドラゴンズが甲子園球場で「弱すぎる」ことが話題だ。
9月3-5日の3連戦で見るも無残な3連敗。3日の初戦、それまで防御率0点台だったエース・高橋宏斗が2回裏に2点を先制された時点で「あっ、これは3連敗です」とSNSに投稿されるほど、選手だけでなくファンでさえ「苦手意識」の塊となっていた。
ちなみに、それは甲子園球場だけじゃない。とにかく野外の「空」と「土」がある球場が苦手中の苦手と、「ほんまに野球チームかいな」と失笑を買うほど、中日ドラゴンズは勝負シーズンが近づくほどドーム球場以外でまともに勝てていないのだ。それはなぜなのか。
「マウンドが硬く踏ん張りがきき、最初に投げるホームの先発投手が自分に合わせてマウンドを作れてボールを制球しやすい。外野が広くて本塁打が出づらく、打者から見て投手の背後の明るい青い壁がボールを見づらくすると言われている、そんな完全に投手有利のバンテリンドーム慣れとしか言えません。バンテリンDで防御率1点台と無双していた投手たちが、ビジターだと突然3点~4点台の並みの投手に変貌してことごとく打たれるのがその証拠。特に野外の甲子園、神宮、横浜では散々です。この傾向が年々強くなって、チーム全体のメンタルに影響を与えているのでしょう。そして、もともと打てない打線です。バンテリンDなら1-0で勝てますが、ビジターでは無理というわけです」(スポーツライター)
当然、ビジターで勝てないのでは優勝争いなど不可能な話だ。
2024年は開幕直後こそ一瞬、首位に立ってファンを喜ばせた就任3年目の立浪ドラゴンズだが、実はビジターの成績は以下の通りだ(交流戦を含む)。
◆2022年=29勝42敗1分
◆2023年=26勝43敗2分
◆2024年=19勝38敗4分(9月5日現在)
一目瞭然だ。もしも、中日ドラゴンズがビジターで勝率5割を記録していたら、ほぼ毎年、クライマックスシリーズ争いをすることになる計算だ。
「22年が5割なら同率2位、つまり相手はもっと負けているわけですから単独2位でした。23年はたとえビジターが5割でも5位どまりですが、今年がもしそうなら、現在は3位阪神とほぼ同位置にいることになります」(前出・スポーツライター)
こんな「タラレバ」は意味がないとプロ野球ファンは笑うかもしれない。しかし、他の球団はホームで中日ほど勝っていないチームが多い。つまり、ビジターを5割前後で抜けて、さらに上の順位にいるわけだ。ここを球団努力で埋めない手はないだろう。
立浪ドラゴンズは、特にシーズンの勝負どころでビジターで負けまくるクセがついている。22年は6月に1勝10敗、23年は8月がなんと0勝8敗、今年も7月が1勝9敗だ。
「ビジターでボコられる月に一気に順位を落として、上位と差をつけられる。この繰り返しです。もし立浪監督が続投ならば、来季以降も同じことが起こるかもしれませんね」(前出・スポーツライター)
甲子園を「5勝5敗」でいけば優勝争いが確約されるというならば、ファンのために死ぬ気であの土の上を疾走してほしいものだが…。
(北山陽向)