日曜夜7時で競い合っているテレビ番組と言われて、何が思い浮かぶだろうか。「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ系)と「バナナマンのせっかくグルメ!!」(TBS系)がそれなのだが、後者の勢いが増しているのだ。
例えば直近9月8日の放送を例にとって、個人視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東)を見てみよう。「鉄腕DASH」は5.8%で、「せっかくグルメ」の2時間スペシャルが5.6%だった。
この日の「鉄腕DASH」で展開されたのは「世界一うまいバーガー作れるか」。自分たちで栽培した小麦で製粉し、バンズを作るまでを丸々1時間かけて放送した。TOKIO・城島茂となにわ男子・藤原丈一郎が奮闘する様子が描かれたのだが、対する「せっかくグルメ」はバナナマン・日村勇紀が京都府丹後エリアへ、西島秀俊と松坂桃李が群馬県高崎市へそれぞれ向かい、地元民おすすめのグルメを堪能した。
「鉄腕DASH」がレギュラー回、「せっかくグルメ」がスペシャル仕様だったため、単純比較はできないものの、ほぼ互角に渡り合っていることがわかる。放送担当記者が分析する。
「TBSの番組は高視聴率を謳っている番組でも、年配層ばかりが見ているものが多い。ところが『せっかくグルメ』はF1層(20~34歳女性)とF2層(35~49歳女性)も見ている。つまり『鉄腕DASH』を脅かす存在となっているわけです。もちろん『鉄腕DASH』にはいまだ根強いファンがいますが、『DASH島』以降は目立ったヒット企画がなく、マンネリ気味になっている。TOKIOのメンバーが2人脱退したことでSTARTO ENTERTAINMENTの後輩が出演していますが、やはり長年の視聴者からすると、同じような愛着が湧きにくいのでしょう。さらにこの番組の企画は自己完結型が多く、内向きです。もちろん日本テレビを背負う大看板番組ではありますが、その存在感、求心力の低下は厳然としてあります」
そこへ参入してきた「せっかくグルメ」は、日村が街の人ととにかく触れ合うことの楽しさを伝えている。なんということのない企画だが、つい見てしまうのだ。おそらく今は城島が来るより、日村が来る方が、街の人は喜ぶのではないだろうか。いずれにしてもこの2番組の戦いは、今後も見ものである。
(白鷺せいこ)