冬の風物詩として知られる「第103回 全国高等学校サッカー選手権大会」の出場権獲得を目指し、全国各地でトーナメントの組み合わせ抽選会が行われている。
複数のJクラブが獲得に動いている神村学園(鹿児島)のFW名和田我空や、プレミアリーグ(イングランド)のサウサンプトン入りが内定している日章学園(宮崎)のFW高岡伶颯といったスター選手に熱視線が送られる中、ひときわ異彩を放っているのが、昌平高校(埼玉)の玉田圭司監督だ。
この名前を聞いて、サッカーファンならピンとくる人は多いと思うが、現役時代に柏レイソル、名古屋グランパス、セレッソ大阪、V・ファーレン長崎を渡り歩いた左利きのストライカー。J1通算99ゴール、J2通算34ゴールを記録した。
2006年W杯ドイツ大会のメンバー発表会見が行われた際には、日本代表のジーコ監督がFWの名前を読み上げ「タカハラ、オオグロ、ヤナギサワ、タマダ…マキ」と、日本中をどよめかせたサプライズ選出の巻誠一郎の前に呼ばれ、W杯のブラジル代表相手にゴールを奪ったことで、サッカーファンの記憶に刻まれている。
2021年末に現役を引退したが、なぜ埼玉の強豪校の監督を務めているのか。サッカーライターが解説する。
「もともと高校時代は習志野(千葉)だったのですが、その時の同期メンバーが昌平高校のスタッフとしてチームをまとめていました。その縁もあって、昨年4月にスペシャルコーチに就任。今年から監督に大抜擢されたのです」
激戦区の埼玉で勝ち上がるためには「経験不足」を指摘する声もあったが、同期メンバーのサポートを受けながら選手の個性を生かしつつ、球際でも戦える集団へと意識を植えつけるなど、さっそく辣腕を発揮した。
「夏の頂点を決める全国高校総体(インターハイ)で2大会ぶり5度目の出場を決めると、イマジネーションあふれる爆発的な攻撃力で、見事に初優勝を飾りました」(前出・サッカーライター)
監督就任からわずか4カ月で全国制覇の偉業を達成した玉田監督。冬の選手権では、選手より「名将」がスポットライトを浴びるかもしれない。
(海原牧人)