外国人観光客を相手に、全国各地で「インバウンド価格」や「ぼったくり被害」が問題視されている。今年2月に開業した東京・豊洲市場の施設「千客万来」では、7000円の海鮮丼が大きな話題となった。
実際に訪れた旅行者に話を聞いたところ、海鮮丼のサイズが「ものすごく小さかった」と語っており、驚きを隠せない様子だった。
もうひとつ「インバウンド価格」で地元民から大きな批判を浴びたのが、大阪の黒門市場だ。近年、インバウンド需要に応じて商品価格が高騰。以前に話を聞いた際には、インバウンド客で大盛況だったこともあり、えび天2000円、タラバガニの足が4本で3万円という、どこまでも強気な価格設定だった。
しかし先日、再び市場を訪れてみると、なんと場内は閑散としており、以前とは雰囲気が一変していた。かつては「高すぎる」と言われた価格設定が、カニの天ぷらやえび天が500円、ほたてやイカの海鮮串が800円から1000円と、観光地としては許容範囲内にまで下がっていた。
なぜこのような変化が起きたのか。地元の人に話を聞いてみると、
「メディアで『ぼったくり』と何度も取り上げられたことで評判が悪化し、客がどんどん少なくなっていった。最近では元の価格設定に戻す店が増えているようです。インバウンド価格と批判され、YouTuberが突撃することも、店側にとっては迷惑だった。今では商品の撮影を禁止している店もありますね」
さらに驚かされたのは、場内の店舗構成だ。以前に比べて食品を扱う店が減り、スイーツ店やドラッグストアが目立つようになっている。先の地元住民は続けてこう語った。
「家賃の上昇が影響しているのか、新しい店が入りにくいんです。そのせいか、今は空いていて歩きやすいですよ。値段が下がったことで、地元民としては、たまに旅行者を連れて行くには悪くない場所になったと思います」
どうやら、黒門市場の「インバウンド価格」はひとまず落ち着いたようだが、この先どうなっていくのか、気になるところだ。