これで大阪・関西万博博覧会なんて開けるのか。大阪公立大学で猛毒のシアン化カリウム、いわゆる「青酸カリ」25グラムと、シアン化ナトリウム25グラムをそれぞれ入れた薬瓶2本がなくなっていることがわかった。これは大人160人から250人の致死量にあたる。
大阪公立大学は5月2日に行われた年一度の定期点検の際、工学研究科の薬品保管庫から紛失していることが判明したにもかかわらず、2週間以上も公表せず、警察への届出もしていなかった。
在庫が確認されたのは昨年6月の点検時が最後で、青酸カリの保管場所を知る大学関係者が持ち出した可能性が高い。
アニメ「名探偵コナン」や映画「犬神家の一族」にも登場する青酸カリ、しかも250人もの致死量が消えたとあって、最悪のシナリオとして考えられるのは、大阪・関西万博での無差別テロだ。
大阪公立大学は、万博にパビリオンを出展予定。多くの人が集まる万博や、その他のイベント、公共交通機関で青酸カリが噴霧される最悪の事態にまで思い至らず、大学が隠蔽していた事実はあまりに悪質である。
劇薬が保管されていた保管庫の鍵は、研究室の関係者が名前を書いて鍵を取り出す前時代的なシステム。劇薬の取り出しとIDカード履歴をリンクもさせていないお粗末な象牙の塔に、世界を驚かせる先端技術など披露できるのか、大いに疑問だ。
大阪万博に出展・協賛する企業の不祥事は、これで7団体目となる。ダイハツ、パソナ、万博アンバダサーの松本人志、宝塚歌劇団、大阪大学病院の手術ミス、小林製薬の紅麹…。さらに、建設現場のガス爆発まで起きている。
工期に間に合わないと懸念されている上に、大阪万博の影響で建築資材が高騰し、他都道府県の公共事業が延期、もしくは無期限中止に追い込まれるなど、大阪万博が日本中で「厄災」「人災」を招いている。
これで万博を強行し、開催中にガス爆発、無差別テロなんて起きようものなら、大阪府だけでなく、日本の国際的信用は地に堕ちる。しかも万博の出展・協賛企業の自滅で死人も出しているのだから、吉村洋文府知事はいい加減、「万博中止」の英断を下すべきだろう。
(那須優子)