元大関・正代がこの秋場所、好調だ。先場所は8場所ぶりの10勝を挙げて、現在は東前頭4枚目にいるが、4年前の2020年は初場所で13勝して三役に復帰している。そして秋場所後には大関へと昇進。
13勝2敗で優勝したこの秋場所は心・技・体がまさに充実していた。14日目の朝乃若戦では体当たりをがっちりと受け止めて左上手を取ると、右からののど輪攻めで押し倒してしまった。相撲ライターが分析する。
「あの頃の相撲が10とするなら、今の相撲は6か7ですね。何が足りないか。それは根気ですよ。ダメだと思ったら連敗してしまう。それが最大の欠点です」
先の名古屋場所では、暑さを苦手とする多くの力士たちが本当につらそうだった。ところが正代はそれを横目に、食欲モリモリで夏バテ知らず。そして二桁勝利してしまった。
ただ、今の正代に大関に復帰しようという欲はない。相撲記者にリップサービスしたら「今日の仕事は終わり」とばかりに、さっさと部屋に引き上げる。その気になれば、まだ大関復帰もかなうのに…。
(蓮見茂)