大相撲秋場所(9月8日初日)を前に、横審議委員会による稽古総見が先ごろ相撲教習所で行われ、大関・琴桜が好調さをアピールした。豊昇龍との三番稽古では11番取って、琴桜の6勝である。
「久しぶりにしては、思った以上にしっかり取れた。探りながらではあるけど、ここから上げていくのがベスト」
琴桜の言葉には力がこもっていたが、相撲ライターの評価はどうか。
「琴桜は今の大関陣では最も安定感がありますね。ただ、実力的には三番稽古の成績が示すように、拮抗している。今の大相撲にはかつての若貴兄弟のように1日50番、100番稽古する力士がいないので、突出した力士が生まれにくいんです」
母方の祖父である元横綱・琴桜は現役時代、ウエイトリフティングに励み、120キロのバーベルを軽々と挙げていた。相撲ライターが続ける。
「祖父に似ていると言われる琴桜ですから、それを信じてトレーニングすることです。祖父はオリンピックに出場できるかも、と冗談で言っていましたが、ウエイトリフティング120キロはともかく、申し合いを1日に50番こなすことはできるはず。あとはやるかやらないか。本人の意思次第です」
横綱・照ノ富士は糖尿が悪化して10キロ痩せたといい、秋場所は活躍できまい。となると、優勝争いは琴桜、豊昇龍の大関陣か、関脇・大の里が中心になろう。琴桜の初優勝は近づいている。
(蓮見茂)