「すでに幕下上位クラスの実力はありますよ」
大相撲秋場所の最中、相撲部屋関係者を唸らせているのは、和歌山商業高校3年の西出大毅だ(写真)。インターハイの個人戦を2年連続V。団体でも主将として、同校相撲部を63年ぶりの優勝に導いた。
「身長180センチ、体重170キロの巨体を生かした突き押しや右四つを得意とする『高校横綱』です。インターハイを2年連続で制したのは、十両の伯桜鵬以来の快挙。プロに転向すれば、関取に昇進するのは時間の問題でしょう。9月7日にポーランドで開催された世界選手権でも、無差別級で2連覇を果たしました」(前出・相撲部屋関係者)
高校卒業と同時に大相撲に入門すれば、三段目最下位格スタートだが、すでに大学進学が内定しているという。相撲部屋関係者が続ける。
「日本大学の相撲部に入部予定だと聞きました。和歌山県の相撲連盟に日大との太いパイプがあって、西出本人も大学進学希望で利害が一致したようです。そこで『アマチュア横綱』や『大学横綱』になると『幕下最下位格』の資格を得られますが、即プロ入りしても通用する実力があるだけに、無用な遠回りに思えてなりません。いずれにせよ、本人の希望に茶々を入れるのは野暮ですが…」
翻って同世代の「出世頭」といえば、荒汐部屋で東幕下十八枚目の丹治だろう。
「中卒で入門した、ロシア人の母を持つハーフ力士です。幕下の大賀は兄で、ファンからは『丹治兄弟』として知られる角界のホープ。身長184センチ、体重136キロの体格で、馬力のある右四つが持ち味ですね。小学生時代には、指導者だった若隆景や若元春の父親から『横綱を狙える逸材』とお墨付きを得たエピソードがあります」(スポーツ紙デスク)
ちなみに、西出が「中学横綱」のタイトルを獲得した全国中学校相撲選手権大会において、丹治はベスト8で敗退している。
「丹治は伸び盛りを迎えて、グングン成長している。ケガさえなければ、西出が入門する頃には、三役昇進は確実だと言われていますね」(前出・スポーツ紙デスク)
大卒のエリートと中卒の叩き上げ。どちらのキャリアパスに軍配が上がるのか、要注目である。