不可解な「2軍塩漬け」が続く中日のダヤン・ビシエドが、来季の現役続行を熱望している。
来日9年目になるビシエドは今季、3年契約の最終年だが、中田翔や中島宏之らが加わったことなどもあり、出場機会が激減。
「自分の仕事ができる場を与えてくれるところであるならば、行きたい。もしチャンスをいただけるのであれば、日本でやりたい」
と語っており、来季は他球団でプレーする可能性が高まっている。
すでに複数の球団が獲得を検討しているとみられるが、有力視されるのは、外国人選手が大外れし、純日本人打線での戦いを余儀なくされた広島だ。
得点力アップを期待されたシャイナーは、3月30日のDeNA戦で負傷し、右手中指PIP関節剥離骨折と診断されて早々と離脱。わずか31打席で4安打、打率1割3分3厘と、ファンの期待を大きく裏切っている。近年の広島は、結果を残せなかった外国人選手のクビをスパッと切る傾向が強く、シャイナーの1億2000万円の年俸は、ビシエド獲得に回すことができる。
実はビシエドの移籍先として広島が有力視されているのには、それなりの理由がある。広島は過去に中日から外国人選手を獲得し、成功させた実績を持っているからだ。
例えば2007年のアレックス・オチョア。シーズンのチーム第1号本塁打を4年連続で放つなど、中日の優勝に貢献していた。6月半ばの入団ながら、最終的に290打数87安打、打率3割、7本塁打、31打点の好成績を収め、翌年の残留が決定した。
2008年は打率3割6厘、15本塁打、76打点と、主要打撃部門で栗原健太に次ぐチーム2位の成績で、中軸として活躍した。2009年は広島市民球場からマツダスタジアムに変わり、外野が広くなることから、肩の衰えを理由に契約は結ばれなかった。
2016年に獲得したのは、エクトル・ルナ。中日の主軸として2014年にリーグ5位となる打率3割1分7厘、チームトップの17本塁打、73打点を記録し、三塁手としてベストナインを受賞した。ルナは夏場に故障で離脱していたエルドレッドに代わる4番打者として、広島の5年ぶり7度目のリーグ優勝に貢献した。
実は現在、元中日で日本ハムのアリエル・マルティネスが本命視されているが、本人は9月7日のオリックス戦後のお立ち台で、
「ファイターズは素晴らしいチーム。僕自身、何年もこのチームでプレーしたいと思っています」
と強く残留を訴えている。キューバ出身ということもあり、本人の意向だけではチームを決められない難しさはあるが…。
もし広島がビシエド獲得となれば、ネックになるのは推定3億5000万円の高額年俸だが、これはビシエド本人が下がることを了承すればクリアできる。
広島は優勝争いの真っ只中にいるが、悩みどころは長打力不足。来季に向けて、ビシエドの打撃力は大きな魅力なのである。
(ケン高田)