サイコパスを疑われる芸人・東野幸治。かつて深夜番組「やりにげコージー」(テレビ東京系)で行われた、自由にオブジェを配置して箱庭を作る深層心理テストでは、周囲を戦慄させた。東野は中央にぽっかりと空間を取り、人物が誰も交わることのない箱庭を完成させたのだった。
滝沢カレンは、東野を心なき人間だと思っている。バラエティー番組で席が隣になることがあるのだが…。
「(東野が)すごい話しかけてくる時があるんですよ。嬉しいじゃないですか。友達になってくださるのかなって思って、番組終わって東野さんに『今日、いっぱいしゃべってくれてありがとう』って言おうと近づくと『お疲れ様です』って、目も見ずにどっか行っちゃって。『あれ?』みたいな。あの思い出は何だったんだ、って」
東野の態度がどうにも腑に落ちないというのだ。この思いに対し東野自身は、
「別に悪気もないし、無意識なんですけど。そういうふうにできてるんですよね、成分として」
と恐ろしい返しをするのだった。
ランジャタイ・国崎和也は「旅猿」(日本テレビ系)のロケで「サイコパス東野」の洗礼を受けている。国崎が卒園した幼稚園に行った時のことだ。
「そこの幼稚園の先生が、僕を見て号泣しちゃって。ずっと泣いてて、僕もこんなに泣いてくれると思わないから『ありがとうございます』みたいなテイで、ずっとやってたんです。で、収録が終わって『ありがとうございました』って言ったその瞬間に、東野さんが『お前、ウケてへんかったで』って」
いついかなる時でも、東野のスタンスは変わらないのだ。
「泣いてる先生に対して、できることじゃないんですよ。犯罪者でしょ、思考回路が。心がないんですよ」
国崎はそう叫ぶのだった。
ところで東野はYouTubeでこっそりと自己分析をしていた。
「高卒でこの世界に入ったんです。大学受験に失敗しましたけど、その段階で仕事をするってなったら、お笑いとか芸能関係以外で考えたら俺、たぶん水商売か、闇カジノでディーラーとかしてんのかなぁ。捕まってんのかなぁ、俺、2回ぐらい捕まってると思うわぁ」
生きる世界が違っていれば、犯罪も辞さない性分だったと臭わせているのだ。
一方で、サイコパスの社会的成功者は少なくない。東野が世に出て大成した要因が、そこにあるのかもしれない。
(坂下ブーラン)
1969年生まれのテレビディレクター。東京都出身。専門学校卒業後、長寿バラエティー番組のADを経て、高視聴率ドキュメントバラエティーの演出を担当。そのほか深夜番組、BS番組の企画制作などなど。現在、某アイドルグループのYouTube動画を制作、視聴回数の爆発を目指して奮闘中。