ちょっと前は京都競馬場、現在は阪神競馬場が改修工事中だが、関東と関西のメイン競馬場の改修工事は様々なビッグレースに影響を及ぼす。
それは、GⅠトライアルレースの距離や回りがガラッと変わることがあるからだ。
先週行われた秋華賞トライアルの「ローズS」は阪神改修の影響で、中京競馬場で距離を200メートル延ばして行われ、関東在住の馬券師ライターT氏が断言したように単勝1.7倍の圧倒的1番人気のレガレイラが5着と凡走。本命に推したクイーンズウォークが快勝し、2着に4頭挙げた推奨馬の1頭チェレスタが突っ込んだ。
T氏は大満足とはいかなかったようだが、収支は余裕でプラスだったと振り返る。
「3着のセキトバイーストを買えなかった。あれだけ軽快に逃げるとは予想できなかった。だから3連単は大外し。でも、馬連と馬単でプラスにはなったね。馬単は言うほどお得じゃないので押さえ程度にしか買わないけど、3連単の次に勝負した馬連4030円はおいしかった」
となると注目は、同じく阪神改修のために9月22日に中京競馬場で行われる、菊花賞トライアルの「神戸新聞杯」だ。こちらも普段の阪神開催と違い、今度は距離が200メートル短縮されて2200メートルで行われる。だが、T氏はこう語る。
「ローズSと同様、神戸新聞杯も20年~22年の3年間は中京でやっている。だけど、これに関してはあまり距離云々は関係ないというデータがあるね。理由として考えられるのは、中京の2200メートルは最初の直線距離が延びるだけだから、レースのペースが従来の神戸新聞杯とあまり変化がないということでしょう」
そこでT氏が中京で行われる神戸新聞杯で重要視するのは「圧倒的に右回りから左回りに変わること」だという。
「こんなわかりやすい傾向はない。専門誌やネットサイトのコメントを見ると『ダービー組が強い』とつまらないことしか書いてないが、中京開催の神戸新聞杯は〝左回りの実績〟のみで馬券が買える。いいですか、3年間の中京開催で馬券になった9頭は全馬、中京、新潟、東京という左回りの経験があった。加えて、9頭で合計17回走って16回馬券になっている(3着以内に入っている)。こんな圧倒的な傾向は稀。だったらもう簡単でしょう」
ちなみに、20年の3頭はどれも中京競馬場では走っていなかったが、左回りは5戦5馬券、21年の3頭は7戦6馬券、うち中京で4回馬券になっている。さらに22年は3連単で45万馬券だったが、絡んだ3頭は中京で5戦走ってすべて馬券になり、なんと3勝を挙げていたのだ。
「逆に言えば、どんな有力馬だろうと左回り〝初体験〟なら外していいということ。そして同時に、左回りで2度以上の4着以下がある馬も外す。それで絞ったら、今回は5頭立てになっちゃいましたよ」
T氏はおもわず高笑いだが、実際に残った馬はオールセインツ、ジューンテイク、バッデレイト、メリオーレム、ヤマニンステラータの5頭だ。T氏がさらに続ける。
「メリオーレムが人気になるのかな。とはいえ、5頭の中なら中京2戦2勝のジューンテイクと左回り2戦2勝で中京で勝っているオールセインツがパッと見はいい。でも、個人的に本命にするならバッデレイトだね。距離は関係ないと言ったけど、それでも2200メートルで2戦して1、2着だし、前走で条件戦を惜敗している馬が穴を開ける傾向にピッタリ。ついでに週末は雨予報だから道悪が上手いのがいい。1着固定とまでは言わないけど、バッデレイトから先に挙げた2頭を絡めて残る2頭を交えての3連単で勝負ということで」
実質〝5頭立て〟となった中京競馬場の変則「神戸新聞杯」だが、給料前の稼ぎ場として、ぜひ注目しようではないか。
(宮村仁)