プロ野球ペナントレースはいよいよ大詰め。セ・リーグは最後まで目が離せない大混戦となったが、厳しい残暑に見舞われた9月に物議を醸したのが、炎天下のデーゲームだ。スポーツアナリストが解説する。
「象徴的だったのは、9月16日に広島カープの本拠地マツダスタジアムで行われたDeNA戦です。広島県内8地区で35度を超える猛暑日となり、先発の森下暢仁が6失点するなど大炎上。11-2の大差で敗れました。9月20日時点で、屋外球場でのデーゲームが最も多いのは広島で20試合。10勝9敗1分と勝ち越してはいるものの、選手たちの疲労度を考えれば、大きなハンディを背負っていると言えるでしょう」
セ・リーグで屋外球場をホーム球場とするのは広島、DeNA、ヤクルト、阪神の4球団。屋外デーゲームが多くなるのは必然だが、酷暑の7月にデーゲーム2試合(1試合は雨天中止)を組んでいたのは広島だけだ。
では、屋外のデーゲームに強いチームはどこか。セ・パ交流戦を除き、これまで行われたのは全46試合。その中で無類の強さを発揮したのが阪神だった。
「屋外球場のデーゲームだけを見ると、阪神が11勝6敗と大きく勝ち越し、甲子園に限定すれば9勝2敗。勝率は8割を超えています。阪神が甲子園のデーゲームに強いのは、もちろん慣れがあるかもしれませんが、阪神ファンの『圧』の強さを指摘する投手がいます。デーゲームではバックネット裏の阪神ファンの顔が鮮明に見え、ヤジがはっきりと聞こえてくるようで、『甲子園のデーゲームは投げたくない』とボヤいていました」(前出・スポーツアナリスト)
なお、屋外デーゲームで勝ち越しているのは広島と阪神のみで、試合数が最も少ないのは巨人(3勝4敗1分)の8試合だった。
「地球の沸騰化」が叫ばれ、今年は国内で8万人以上の熱中症患者が救急搬送された。観客の安全を守るためにも、デーゲームのあり方を見直すべきかもしれない。