パ・リーグでは就任1年目の小久保裕紀監督が率いるソフトバンクが、4年ぶり20回目のリーグ優勝を果たした。今季は西武から移籍した山川穂高が4番にどっしりと座り、打線の中心として活躍。そして忘れてはならないのが、5番・近藤健介の存在感だ。
近藤は走塁の際の右足首のケガで9月17日に離脱するまで、打率3割1分4厘、19本塁打、72打点とリーグトップの成績を残しており、山川とともにMVP候補の筆頭に挙がっている。
とりわけソフトバンクに移籍してからの本塁打数が急増しており、「やっぱり札幌ドームはクソだった」と嘆く日本ハムファンがいるという。
近藤はプロ通算13年で97本塁打を記録しているが、そのうち45本がソフトバンク移籍後の2年間に放ったもの。図らずも日本ハム時代の札幌ドームの「広さ」が、あらためて露呈する形となってしまった。もし札幌ドームよりもコンパクトなエスコンフィールドのオープンが数年早まっていれば、近藤の本塁打が激増していたのは間違いないだろう。
札幌ドームは両翼100メートル、中堅122メートルの広さに加え、外野フェンスが5.75メートルと非常に高いことで本塁打が出にくく、長距離砲泣かせだった。近藤にしてみれば「ホームランテラス」が設置されているソフトバンクへの移籍は、明らかにプラスだったことだろう。
一方、ババを引いたのは中田翔ではないか。日本ハム時代は札幌ドームで通算98本塁打を放ち、2位・稲葉篤紀の59本を大きく引き離してひとり気を吐いたが、本塁打が出やすい東京ドームを本拠地とする巨人時代はケガなどもあり、出場機会に恵まれず。現在は12球団で最も本塁打が出にくいバンテリンドームで苦戦を強いられている。
いずれにしても日本ハムのファンにとって、札幌ドームはあまりにも問題がありすぎて、今ではただのトラウマでしかない。ソフトバンクで大活躍する近藤をうらやましい目で追ってしまうのは、仕方がないことなのである。
(ケン高田)