日本サッカー協会は3日、日本代表のハビエル・アギーレ監督との契約を解除したと発表した。これは事実上の解任であり、これにより協会は、後任監督の選定作業を本格化することになった。
解任の理由は、アギーレ監督自身が関わったとされる八百長疑惑に関する告発状が、スペイン・バレンシアの裁判所に受理されたことが原因だ。
アギーレ監督は具体的にどんな罪で告訴されたのか。スポーツライターがこう話す。
「スペインでは2010年に刑法が改正され、贈収賄はスポーツにおける不正行為として規制対象に追加されました。つまり、試合結果を故意かつ不正に操作することが違法となったのです。今回の八百長疑惑は、それが適用された最初の案件となりました」
スペインの刑法には八百長の禁止が明文化されているという。大相撲で八百長問題が大騒動になったのにもかかわらず、解雇処分など協会内のペナルティだけで収束した日本とは大違いである。
ただ、日本でもスポーツ選手が八百長で逮捕された事例はある。1969~1971年にプロ野球界で起こった「黒い霧事件」では、関わった選手たちに永久追放、長期間の出場停止、年俸減額などの処分を下したが、この一件に関わった一部の選手がオートレースの八百長にも関与していたとして、オートレース選手19名は警察に逮捕されているのだ。
実はオートレースや競輪、競馬などの公営ギャンブルでは、レーサーや選手、騎手が賄賂をもらうことは法律で禁じられており、最大で5年以下の懲役が科せられる。これらの競技では八百長がギャンブルの結果を左右することになるうえ、職員がみなし公務員とされていることもあり、法律で厳しい罰則が定められているのだ。
ちなみに、贈収賄罪は公務員相手にしか成立しないので、自分には関係ないと思っている人も多いはず。だが会社法の第967条には「取締役等の贈収賄罪」が規定されており、民間企業同士の取引であっても取締役は罪に問われる可能性がある。サラリーマンの世界にも意外なリスクが潜んでいることを知っておきたい。