日本シリーズ対策よりも、まずはクライマックスシリーズの突破だろう。
9月最後の西武戦で「1塁・レイエス、二塁・郡司」の仰天布陣で臨んだ日本ハム。試合中も右翼でスタメン出場した水谷瞬を中堅の浅間大基と入れ替え、終盤には中堅に回った水谷を、左翼の万波中正とチェンジさせている。スポーツ紙記者が解説する。
「DH制が使えない日本シリーズのビジターゲームを想定しての起用でしょう。外野手のポジションを変えたのは、代打などを使った後の途中出場を見越してのこと。試合後、新庄剛志監督はそう話していました」
だが、この早すぎる日本シリーズ対策で、二塁手の郡司が走者を置いた場面で打球を収めきれず、先制点を許す(記録上は内野安打)。自己最多タイの11勝目がかかっていた先発・山崎福也に負けが付いてしまった。
「選手たちは不慣れなポジションをむしろ、楽しんでいたようです」(北海道メディア関係者)
2位確定の余裕ではない。新庄監督は個人タイトルがかった選手のサポートをしてきたからだ。例えばホールドポイントのタイトルを狙える河野竜生に対しては、CS進出がほぼ確実となった9月初旬から「ホールド」がカウントされる状況で起用してきた。また、最多勝のタイトルを争っている伊藤大海は無四球、完投、完封勝利数でもリーグトップに立っており、自分から交代を申し出ない限りは続投させてきた。前出の北海道メディア関係者が言う。
「河野の初戴冠が9月29日に確定しました。この日、ライバルのロッテ・鈴木昭汰がホールドを記録しましたが、残り試合数の関係で、河野の逃げ切りが決まった。新庄監督は8月から、個人記録のことも念頭に入れて起用してきたのです」
個人タイトルの心配をクリアした後でのシリーズ対策だったため、不満が出なかったのだろう。CSを吹っ飛ばして日本シリーズ対策に入ったことで、選手はソノ気になったのでは…。
(飯山満/スポーツライター)