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野村貴仁「バックスクリーン奥のトイレに覚醒剤を隠した」/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」

 日本球界を揺るがす衝撃的な著書が、2016年9月に発売された。タイトルは「再生」(角川書店)。著者である野村貴仁氏は2006年10月、覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕され、懲役1年6カ月、執行猶予3年の有罪判決を受けた元プロ野球選手だ。

 タイトルから想像するイメージは、野村氏自身が過去と決別し、新たな一歩を踏み出そうとする、いわば「決意の書」といったところだが、多くのページが割かれているのが薬物、引退後の逮捕など、その波乱に満ちた人生についてのエピソードだ。

 野村氏は高知県の高岡高校から三菱重工三原を経て、1990年にドラフト3位でオリックスに入団。中継ぎ投手として1995、1996年のリーグ連覇に貢献した。しかし1998年に、木田優夫との交換トレードにより巨人へ移籍。当初は抑えとして期待されたが成績を残せず、2001年オフに巨人を退団する。

 翌2002年にはメジャーリーグのブリュワーズで21試合に登板。帰国した2003年に日本ハムに復帰するも、ここでも打ち込まれて1年で自由契約に。その後、台湾でプレーしたのちに、現役を引退することになる。

 日本での通算成績は344試合で24勝22敗39セーブ。と、ここまでなら「苦悩の野球人生を送った元プロ野球選手」とでもなるのだろうが、野村氏は同著でオリックス時代から「グリーニー」と呼ばれる薬物(当初は禁止薬物ではなかった)を使用し、巨人時代には入手した覚醒剤を球場内に隠して、必要な時に取り出しては使用していたと告白している。

〈最初は東京ドームのロッカールームに保管していたが、いつどんなきっかけで発覚するかわからない。こんな心理状態では、とてもではないが野球に集中できない。時間を見つけては、東京ドーム内で隠せる場所を探し回った。あるとき、バックスクリーンの奥にトイレがあることを知った〉

〈隠しておくには、またとない場所だ。そう思うやいなや、密封できるカプセルに覚醒剤を分けて、それらを袋に入れて、さらにティッシュペーパーにぐるぐる巻きにしたうえで、人目をしのんでそのトイレへと運んだ〉

 いやはや、この告白が事実なら、まさに聖地に対する冒涜と言われてもしかたがないだろう。そして同著にたびたび登場するのが、2016年2月に覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕され、懲役2年6カ月(執行猶予4年)の有罪判決を受けた清原和博氏である。同著によれば「バッターボックスの白いラインがコカインに見えるんや」とつぶやく清原氏に、「隠し場所」から覚醒剤を取り出してはコーヒーに混ぜ、差し出すことがあったとされる。

 野村氏は著書を出版後、スポーツ紙や週刊誌などにたびたび登場。薬物疑惑が噂される球界関係者らにとっては、しばらく枕を高くして眠れない日々が続くことになったのである。

(山川敦司)

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