「はっきり言えば、少年法の敗北。事件から35年が経った今も世間がこれだけ関心を持ち続けているのは、彼らが更生していないからですよ。だからこそ、事件を風化させてはいけないのです」
本事件を30年以上追い続けてきたジャーナリストの片岡亮氏が憤るのも当然だろう。犯人4名のうち3名が出所後に刑事事件を起こしているのだ。
中でも重大事件を引き起こしたのがBだ。04年5月に知人男性を車で連れ去り、監禁したうえで暴行。翌6月4日に逮捕監禁致傷の容疑で再び逮捕されたのだ。驚くことに、監禁事件の舞台となったのは、Bの母親が経営するスナック。店を構える埼玉県三郷市は、「綾瀬コンクリ殺人」で少女を襲い、拉致した場所でもある。
事件発生前、この店に何度も足を運んだ片岡氏が、Bの母親とのやり取りを振り返る。
「別の名字を名乗って、素知らぬ顔でスナックを営んでいましたが、あるルートで入手した営業許可証を見て、Bの母親だと確信。最初の頃は『関係ない』と否定していましたが、そのうちポツリポツリとBについて話すようになって、『うちの息子は悪くない』と擁護し、『Aが全部悪いんだ』と責任を押しつける始末。また、Cの家庭についても『あそこは共産党がバックについている』とか、『うちは後ろ盾がないから市議会議員にタダでお酒を飲ませている』なんて言っていました」
Bの無反省を示すエピソードはまだある。第二の監禁事件が起きる前、Bと刑務所で一緒だったという人物が片岡氏に語ったエピソードは驚くべきものだった。
「入所直後から『あいつコンクリだ』と刑務所内でも噂になっていたそうですが、Bは無視を決めこんでいたそうです。しかし、私が話を聞いた元受刑者も相当なワルで、体には無数の傷があるような人物。そんな男だからこそ、Bも心を開いていったのでしょう。そのうち事件についても口を開き、『コンクリートで固めた時に手と足が飛び出て大変だった』なんて自慢げに語っていたそうです」
Bは05年に懲役4年の実刑判決を受けた。すでに出所しているはずだが、その後の消息は伝わってこない。