スポーツ

世界の福本豊<プロ野球“足攻爆談!”>「オリックスよ、悔しさはないんか!」

 パ・リーグはソフトバンクが4年ぶりの優勝。最終的には2位の日本ハムに11ゲーム差をつけて独走のゴールやった。MVPの最有力は、西武からFA移籍1年目で本塁打と打点の2冠王がほぼ確実な山川穂高になる。1人だけ全試合出場を続けていることも評価したい。ただ、陰のMVPはオリックス。特にシーズン終盤はケチョンケチョンにやられた。後半戦は1勝10敗、本拠地・京セラDで胴上げを見せつけられた。

 2位の日本ハムが対ソフトバンクに6連勝するなど意地を見せていただけに、オリックスが互角に戦っていれば、シーズンはもっと盛り上がったはず。リーグ3連覇を果たしたチームがここまでガタガタになるのはありえないこと。確かにエースの山本由伸がドジャースに移籍したが、チームには宮城がいたし、山下舜平大だっていた。2人ともケガで離脱した時期があるが、それも実力のうち。選手だけでなく、球団トレーナーも含めた力やと思う。それにしても、ここまで負けるチームやない。野手には3連覇したメンバーが残っていて、広島からFAで西川も獲得したんやから。

 僕は中嶋監督の選手起用にも反省すべきところがあると思う。球場に来てみないと、自分が何番を打つかわからないようでは、落ち着いて野球ができない。昨年までのように勝っている時はいいけど、チーム状態が悪くなると、歯止めがかからなくなった。

 中嶋監督と対照的に、ソフトバンクの小久保監督は師匠の王さんのように打線を固定するタイプやった。山川も4番で使われ続けたおかげで、8月以降は安定して打てるようになった。力のある打者は不振になっても、試合に出ているうちに、復調のきっかけをつかむもの。ラオウ杉本や頓宮は今年はきっかけをつかむ機会のないまま、シーズンが終わってしまった。ラオウなんてホームランを打った翌日から、また休みなんてことがあった。見ているこちらが「何で」と思うことが多かった。西川も打順がコロコロ変わって、最後まで自分の役目がわからなかったのと違うかな。

 ほんまにオリックスは応援してくれたファンに謝らないとアカン。京セラドーム最終戦の9月24日の西武戦は解説の仕事で行ったけど、超満員のスタンドに仰天した。消化試合なのに、今季最多の3万6217人のファンがかけつけた。残り4席しか空いていないと聞いたので、「球団職員が4人座って完全完売にすればいい」と冗談を言ったほどやった。長年チームを支えてきたT-岡田、安達の引退試合ということはあったが、それにしてもよく入っていた。僕らの時代は優勝争いをしていても、いつでも球場に入れた。ボロボロのチーム状態になっても来てくれるファンに感謝しないとアカンし、勝ち試合を見せてやらないといけない。超満員のファンの前で最下位の西武に負けるなんて、ほんま情けない。

 プロである以上、消化試合であっても、負けていい試合なんて1試合もない。シーズン終盤のオリックスの戦いを見ていると、負けて悔しさを感じている選手が少ないように見えた。こんな試合を来年もしていたら、せっかくファンになってくれた人に愛想を尽かされてしまう。来年こそは絶対に、王者ソフトバンクに目の色を変えて立ち向かう姿をファンに見せないとアカンで。

福本豊(ふくもと・ゆたか):1968年に阪急に入団し、通算2543安打、1065盗塁。引退後はオリックスと阪神で打撃コチ、2軍監督などを歴任。2002年、野球殿堂入り。現在はサンテレビ、ABCラジオ、スポーツ報知で解説。

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
長与千種がカミングアウト「恋愛禁止」を破ったクラッシュ・ギャルズ時代「夜のリング外試合」の相手
2
暴投王・藤浪晋太郎「もうメジャーも日本も難しい」窮地で「バウアーのようにメキシコへ行け」
3
日本と同じ「ずんぐり体型」アルプス山脈地帯に潜む「ヨーロッパ版ツチノコ」は猛毒を吐く
4
侍ジャパン「プレミア12」で際立った広島・坂倉将吾とロッテ・佐藤都志也「決定的な捕手力の差」
5
怒り爆発の高木豊「愚の骨頂!クライマックスなんかもうやめろ!」高田繁に猛反論