10月に入り、秋が深まり…と言いたいが、今年は蒸し暑さが続く日本列島。それでも恒例スケジュールは粛々と進むというわけで、中央競馬はいよいよトップホースたちが目標のビッグレースに向けて試走を始める。
10月6日の関西地区のメインは、京都競馬場の伝統レース「京都大賞典」。淀の芝2400メートルに中・長距離ホースが集結するわけだが、このレースは「堅い決着」が多いことで知られている。
ここ10年で大荒れだったのは、3連単で180万円以上ついた2019年のみ。今年は宝塚記念ホースのブローザホーンが満を持して出走してくるだけに、1番人気は確実だ。やはり堅い馬券となりそうなムードだが、宝塚記念をブローザホーンの単勝で大儲けしたという関東在住の馬券師ライターT氏は、
「堅そうだが、ガチガチではない」
と断言して、次のように説明した。
「京都大賞典を1番人気が勝ったのはいつかといえば、8年前のキタサンブラックまで遡らなければならない。これでは『アタマが堅いレース』とは口が裂けても言えないわけです。キタサンブラックでさえ、クビ差の辛勝でした。ようは京都大賞典は秋のGⅠを本気で狙っている馬にとっては、完全に『叩き台』ということ。それでも10年で1番人気8頭が馬券になっているわけですから、なんとか面目は保つというパターンの繰り返し。これが今年だけ変わるなんてことはほぼない。と考えた方が馬券を絞れる」
春に儲けさせてもらったブローザホーンだが、T氏は「来ても2、3着」とクールに分析。1着馬券としては「1円も買わない」と宣言した。では、馬券はどう組み立てるべきか。T氏は「ポイントは出走頭数」だとして、
「ここ5年は常に14頭以上でしたが、今年は出走11頭と少ない。ここ10年で12頭以下だった年は4回ありますが、馬券になった(3着以内に入った)12頭のうち11頭が3・4コーナーで馬群の真ん中より前にいました。しかし頭数が少なくて馬群は固まるから、逃げ切りは決まらない。その逃げ馬を最も見やすい位置で競馬できる有力馬が、上がり勝負(ラスト600メートルが速い)で抜け出すレースになる。斤量の重い(59キロ)ブローザホーンは余計に不利でしょう」
頭数の少ない上がり勝負では、確かに馬群の後ろから来る追い込み馬は、ギリギリ届かないことが多い。つまり「逃げない」先行脚質の馬を買えばいいというわけか。T氏がさらに続ける。
「もうひとつ、京都のGⅡにありがちなパターンです。叩き台のGⅠホースをここでは負かせるが、残念ながらGⅠタイトルには届かない、という馬を本命にしたい。そう考えると、今回はプラダリアで万全でしょう。昨年のこのレースの覇者でり、勝てば2連覇です。あとはサトノグランツ、シュヴァリエローズあたりが先行できますが、買うならサトノの方。でも、どちらもあまり実績のないハンデ戦の目黒記念組というのが、そう強くは推せない理由です。それならば、人気が下がった時ほど上手い先行競馬ができるディープボンドが買い。あとはブローザホーンを2・3着で。これで馬券は完成です」
T氏の大勝負3連単はたったの2点。1着にプラダリアを置き、ディープボンドとブローザホーンの2・3着づけ。皆さんの結論や、いかに。
(宮村仁)