サマーシリーズは、スプリント、マイル、そして2000メートルで争われ、ハンデ戦も多く組まれている。
7月16日のメイン、函館記念(芝2000メートル)と、翌週の中京記念(芝1600メートル)はともにハンデ戦。サマーシリーズのボーナス欲しさゆえか、登録頭数が多く、フルゲートは必至。ともによく荒れる重賞として知られ、馬券的にもおもしろく、ファンとしては目を離せない一戦だ。
ひと昔前の話になるが、北海道シリーズに入ると、競馬記者は2~3カ月の長逗留になることが当たり前だった。なので、宿泊代を払うのもままならないこともしばしば。当方もこの函館記念で何度か窮状を救ってもらった経験があり、特別な思い入れのある重賞の1つだ。
近年でいえば、20年のドゥオーモ(13番人気)を本命視して2着。15番人気のアドマイヤジャスタが勝利を収めて馬連(13万1670円)、馬単(27万7090円)のビッグボーナスを手中にしているだけに、今年も─といきたいところだ。
まずはデータをひもといてみよう。02年に馬単が導入されて以降、これまでの21年間、その馬単による万馬券は12回(馬連5回)。この間、1番人気馬は3勝(2着4回)、2番人気馬は4勝(2着2回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回。つまり、堅く収まることはマレで、まずは波乱含みの一戦ととらえるべきだろう。
年齢的には充実の5歳馬が7勝(2着5回)とよく連対を果たしているものの、他の年代の馬も健闘しており、年齢による大きな開きはない。また、ハンデ的には56キロ前後の斤量を背負った馬がよく上位争いを演じている。実績馬の軽視は禁物だ。
今年も一筋縄では収まりそうにない顔ぶれで悩むところだが、最も期待を寄せたいのは、ブローザホーンである。
不良馬場で行われた前走の烏丸S(3勝クラス)を快勝。オープン入り初戦となる今回は、2カ月半ぶりの一戦となるが、ひと息入ったのには理由がある。実は前走後、宝塚記念を視野に入れて短期放牧を挟んで調整されていた。除外対象だったこともあり、直前になって回避したが、GIに出走させたいほど、陣営はこの馬の力量を高く評価しているのだ。
中野調教師は宝塚記念に登録した理由を次のように話す。
「いきなり通用するほど甘くはないが、地力は確かなので58キロ(宝塚記念で背負う斤量)での競馬を経験させたかった。力をつけ、秋以降、さらによくなる馬と期待している」
確かに420キロ台と牝馬に伍しても小兵。一線級を相手に初めて背負う58キロは苦しかっただろう。が、それほどまでに能力を買われている馬とあっては、注目しないわけにはいかない。「以前はひ弱な、ただ小さな牡馬だったが、実が入って本格化してきた今は、見違えるほどたくましくなっている。弾みをつける意味でも頑張ってほしい」
と、中野調教師が期待を込めるように、中間の調整も抜かりなく、稽古の動きはリズミカルで軽快。さらに良化しているのだ。
母系は欧州の一流血脈。今秋は大きなところを狙えると思えるだけに、強敵相手のここでも大きく狙ってみたい。
7月23日に行われる中京記念は、函館記念に輪をかけて荒れる重賞である。
一発を期待したいのは、ルージュスティリアだ。牝馬だけに手頃なハンデに収まりそうで、中京は〈2 0 0 0〉と得意の舞台。走れる条件はそろっている。