本格的な夏のローカル競馬が今週から幕を開ける。福島開幕週のメインは、恒例となったラジオNIKKEI賞だ。
3歳馬同士のレースにもかかわらず、異例とも言えるハンデ戦。なので毎年指摘していることだが、この時期の3歳馬は何度かある成長期に差し掛かっており、これまでの実績だけでハンデを決めるのは多少、無理筋ではないかと思う。
1勝しかしていない馬が2勝以上の馬をあっさりと破ってしまうことも決して珍しくはない。また、1勝馬とはいえ、重賞や春のクラシック戦線で上位争いを演じた馬が評価されて、それなりに重いハンデを課せられ、条件戦をようやく勝った馬が、そうした実績馬を一蹴することもまま見られるのがこの重賞である。
よって、この時期の3歳馬同士の、しかも重賞にハンデ戦を設けるのは、いかがなことかと思うのだ。
まずは過去のデータをひもといてみよう。
03年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、その馬単による万馬券は8回(馬連では5回)。この間、1番人気馬は4勝(2着3回)、2番人気馬は6勝(2着2回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は2回のみ。
つまり、半数近くはまともな決着を見ない、荒れ傾向の重賞ということだ。
確かに今年の顔ぶれを見ても、あっさりと決まりそうにない。悩むところだが、最も狙ってみたいのはダイシンヤマトだ。
まだ1勝クラスの身。前走も1番人気に支持されながら、4分の3馬身差で勝ちきれず、2着に敗れた。
しかし、使われながら徐々に力をつけてきたのは確か。厩舎関係者も、
「ひ弱さが消えて、心身ともにたくましくなっている。まだまだよくなる馬だと思う」
と口をそろえ、ここにきての成長ぶりを強調するほどだ。
前走から間隔が詰まっているため、1週前の追い切りは軽めだったが、それでもリズムに乗った動きを披露。状態のよさをアピールしていた。
血統が、またいい。4代母は愛1000ギニー(桜花賞に相当)、愛オークスを制した女傑で、母系は欧州の一流血脈。陣営が「まだまだよくなる」と期待を込めるのも納得である。
ハンデは恐らく52~53キロ。“一発”があっても不思議はない。
CBC賞も、よく荒れる重賞である。過去20年で見ると、馬単で11回(馬連は7回)も万馬券が飛び出しているほどだ。
昨年は3歳牝馬のテイエムスパーダとアネゴハダが1、3着したように牝馬の活躍が目立っているが、近3年で5頭が馬券になるなど、5歳馬がよく連に絡むのも特徴である。
当方が期待するのもその5歳馬、ヨシノイースターをイチオシしたい。
とにかく堅実で勝負強いのが身上。前走の鞍馬Sは1番人気で4着と期待を裏切ったが、不良馬場に脚を取られながらも勝ち馬とコンマ4秒差に頑張ったことは、評価していいだろう。
以前は逃げ・先行脚質で、しまいが甘くなっていたが、ここにきて脚質転換に成功。中京の芝は昨春2戦して〈0 1 0 1〉と勝ち鞍はないものの、末脚勝負型に変わった今なら、直線の長い左回りの中京は合うとみていいのではないか。
ハンデは前走より1キロ軽い56キロなら、持ち味が生きるはず。良馬場条件に大きく狙ってみたい。