JRAの上半期を締めくくる宝塚記念が終わり、いよいよ本格的な夏競馬に突入である。「夏は牝馬」の格言もあるが、騎手に目を移すと「夏は武史」のごとく、近年は横山武史が勝ちまくっている。スポーツ紙記者が言う。
「函館開催は20年(14勝)、21年(15勝)、22年(19勝)と3年連続でリーディングに輝いていますし、札幌開催でも21年(20勝)、22年(22勝)と2連連続で首位。まさに夏男と言っていいでしょうね」
6月10日に開幕した函館開催でもすでに7勝(6月25日終了時点、以下同)を挙げており、7月1日、2日も函館で13鞍に騎乗予定。この調子なら4年連続リーディング獲得の可能性も十分ありそうだが、
「馬券的には要注意です」
と警鐘を鳴らすのは、競馬ライターだ。いったいどういうことかといえば、
「確かに勝ち鞍という点ではトップですが、勝率や連対率、複勝率を見ると、そこまでズバ抜けた数字ではありません。要は乗り鞍が多いぶん、勝っているというイメージです。その証拠に近5年の函館成績は〈66・45・50・272〉で勝率15.2%、連対率は25.6%(複勝率37.2%)。同じく札幌開催は〈75・49・43・332〉で勝率が15.0%、連対率は24.8%(同33.5%)。北海道シリーズだからといって、全幅の信頼は置けませんね」
しかも、昨年のリーディング獲得については「ルメール不在」が大きかったという。競馬ライターが続ける。
「宝塚記念の翌日6月27日から8月8日まで、フランスやイギリスで騎乗しています。いわば横山武は鬼の居ぬ間に勝ち鞍を量産したにすぎない。ちなみにルメールの近5年の函館成績は〈48・49・27・101〉で勝率21.3%、連対率は43.1%(同55.1%)。札幌開催は〈97・69・39・171〉で勝率25.8%、連対率は44.1%(同54.5%)。馬券的な信頼度では、横山武はルメールに遠く及びません」
77勝を挙げて、全国リーディングのトップをひた走るルメール。「夏は武史」ではなく「夏もルメール」が正解のようだ。