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【凱旋門賞】日本馬シンエンペラーは「パワーのいる道悪馬場になっても走る」という根拠

 今週の注目レースはなんといっても、パリのロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞(GⅠ・芝2400メートル/日本時間10月6日23時20分発走)だ。日本馬は1969年のスピードシンボリを皮切りに、延べ34頭が出走してきたが、いまだ勝利はない。今年もその厚く高い壁を突き崩すべく、一頭の馬がチャレンジする。アイリッシュチャンピオンS(GⅠ)で3着に入ったシンエンペラーだ。

 同馬は2020年の凱旋門賞優勝馬ソットサス(仏)の全弟で、オーナーの藤田晋氏が仏ドーヴィルのセリで3億円で落札した超良血馬。それだけに現地での評価は高く、大手ブックメーカーの前予想では3位になったるほどである。

 この時期のロンシャンは馬場が悪くなることが多く、多くの日本馬が泣かされてきた。今年もどうやらパワーが必要な馬場コンディションとなりそうだ。

 しかし、ソットサスが不良馬場で勝ったこともあり、シンエンペラー陣営は心配していない。どこまでも強気で、頼もしく感じるくらいだ。期待していいだろう。

 外国馬で注目しているのは、アイリッシュチャンピオンSで後方から追い込んで、小差の4着だったロスアンジェルス。その時より距離が400メートル伸びて、さらに末脚が生きてくるはずだ。今回はライアン・ムーアが騎乗するので、ぜひ狙ってみたい。

 さて、日本に目を向ければ、東京では土曜にサウジアラビアロイヤルカップ(GⅢ・芝1600メートル)、日曜には毎日王冠(GⅡ、芝1800メートル)が行われる。京都では日曜に京都大賞典(GⅡ、芝2400メートル)がある。

 サウジアラビアRCは出走7頭で、馬券的な妙味はほとんどない。新潟・芝1600メートルの未勝利戦を1分33秒3の好時計で勝ったアルレッキーノの独り舞台になりそうだ。

 毎日王冠は近5年で3歳馬が4勝している。今年は3頭が出走予定だが、いずれも実績十分なだけに楽しみだ。中でもルメール騎乗のシックスペンスは気性面の成長が著しく、期待が大きい。圧勝したスプリングSと同じ1800メートルなら、秀でた瞬発力で古馬勢を打ち負かすことは十分可能だろう。

 京都大賞典は過去10年で1番人気馬が勝ったのは2回だけ。その他は2着3回、3着3回、着外2回で大崩れはしていないが、勝ち切れてもいない。今年は宝塚記念を勝ったブローザホーンが1番人気になるだろうが、59キロを背負うだけに、取りこぼすことがあるかも。大穴は京都巧者で持ち時計一番の、ジューンアヲニヨシだ。

(兜志郎/競馬ライター)

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