競馬ファンが待ち望んだ海外レースの馬券発売がついにスタートする。しかも記念すべき第1弾が、世界最高峰レース「凱旋門賞」。日本からダービー馬マカヒキが参戦するとあって、早くも白熱。有力馬の“秘”情報から馬券ガイドまで、今知りたい全てを網羅する。
日本のホースマンたちの悲願、凱旋門賞制覇(10月2日、フランスGI・芝2400メートル)。47年前、「ミスター競馬」野平祐二がスピードシンボリで挑戦して以降、延べ19頭(2着4回)が欧州勢の厚い壁にはね返されてきた。1920年に創設されてから95回、ヨーロッパ調教馬以外が美酒を味わったことはない。「海外競馬・勝つためのプレミアムデータ&テクニック」(ガイドワークス刊)の著者で競馬ライターの秋山響氏が語る。
「凱旋門賞といえばロンシャン競馬場ですが、今年は改修工事により、パリ郊外のシャンティイ競馬場で行われます。どちらも右回りで、高低差が10メートルほどですが、坂の配置が違う。おおまかに言って、ロンシャンは上がって下るが、シャンティイは下って上る。直線(約600メートル)も残り200メートルぐらいまで上りです」
日本の中山競馬場はゴール前に約5メートルの急坂が待ち構え、一気に駆け上がるが、シャンティイは3角から急激に下ると、コーナーの中間あたりから上り始め、4角を抜けて直線になっても緩やかに上り続ける。
そのタフなコースで行われた前哨戦(9月11日)に、ダービー馬のマカヒキ(牡3)が挑んだ。凱旋門賞と同じ舞台のGII「ニエル賞」は5頭立てで、2着・ミッドタームにクビ差の勝利だった。秋山氏が続ける。
「(鞍上の)C・ルメール騎手(37)がずっとずっと(追い出しを)我慢していたが、あれでいいんですよ。遅すぎるという声も一部で聞かれたけど、着差なんて関係ありません。3角から4角のキツいコーナーリングにしても、スムーズな走りに見えた。コース対応は問題ないと思います」
フランス出身のルメールも「追い切りみたいでした。思いどおりのレースができてよかった」と笑顔だった。
シャンティイで行われる凱旋門賞は、坂の配置だけでなく、この3角から4角にかけての攻防も見どころの一つ。ロンシャンと違って鋭角気味で狭いコーナーのため、外に振られた馬の影響でごちゃつくこともあり、明暗を分けることにもなりかねない。位置取りが重要で、馬の操縦性が問われる。海外競馬にも詳しいスポーツ報知の関東本紙担当・牧野博光記者が話す。
「その点でもマカヒキは心配ないでしょう。大江助手が『こんなに手のかからない馬は初めてです』と話していたほど賢い馬。ダービーでも川田将雅騎手(30)がスタート後に位置を取りに行っても折り合っていた。シャンティイを熟知するルメール騎手が、コントロールの利くマカヒキを巧みにエスコートすると思います」
ニエル賞の中継を見ていた海外通のジョッキーも、前哨戦をこう評する。
「騎手目線でいえばリラックスした走りで、手前の替え方も上手でしたね。(武)豊さんも『けっこう4角が難しいけど上手に替えていたし、直線でも自分で替えていたね』と話していた。残り150メートルあたりで替えた時には、前をかわすと思いました。レース中に落鉄していたことを考えれば、上出来の内容でしょう」
海外初戦の勝利後も順調で、20日には芝コースで1週前追い切りを無事に消化した。
「現地取材班によれば、帯同馬のマイフリヴァを追いかける形でスタートし、途中から併入。友道調教師は『あんまり元気がいいので15-15で入って、しまいを伸ばして13秒くらいだった』と、好調ぶりをアピールしていたそうです」(前出・牧野記者)