10月24日のプロ野球ドラフト会議でひと波乱、起こりそうだ。上位指名が確実視される超高校生スラッガー・森井翔太郎内野手(東京都桐朋高3年/右投左打)が、日本球界ではなくメジャーリーグにいきなり挑戦する可能性が出てきたからである。
「桐朋高は都内でも有名な進学校。甲子園など全国大会には縁がありませんでしたが、森井の将来性は高く評価されています」(在京球団スカウト)
今年の夏の甲子園大会予選では1回戦で消えたが、ネット裏には日本の11球団とメジャー複数球団のスカウトが陣取っていた。彼らが口を揃えて言うのは「雰囲気がある」。まだ荒削りなところは多いが、将来性では高校球児のトップクラス。
しかし、本人はメジャーリーグ志望が強く、9月末から両親とともに一時渡米していたことが判明。メジャーリーグの球場や一部マイナーの練習施設を見学したらしく、「日本球界入りは辞退、メジャーリーグ挑戦」の思いを固めたという。
「プロ志望届は提出しています。強行指名し、説得する球団が出てきそう」(球界関係者)
その強行指名が予想されるのが、西武ライオンズだ。というのも、森井は小学校時代に「ライオンズジュニア」に所属していた。おそらくその才能に、西武球団は気付いていたのだろう。先の1回戦で消えた東京都大会には11人体制で現地入りし、潮崎哲也スカウトディレクターの姿も見られた。
「夏の東京都大会が終わった時点では、日本の球団とメジャーリーグのどちらに行きたいかと聞かれて『五分五分』と答えていました」(アマチュア野球担当記者)
即戦力ではない。しかし、近年中に中軸選手になれる逸材だ。低迷する西武の救世主というよりは、再建された新チームの中心選手だろう。
11人体制で視察したのは「他球団に行かせたくない」の気持ちから出た行動。その相手がメジャーリーグでも気持ちが変わらないとしたら、日米争奪戦に発展しそうだ。
(飯山満/スポーツライター)