どうにも釈然としないままである。今度は昨春キャンプ前に選手会を脱会していたことが判明した、ロッテ・佐々木朗希のことだ。
代理人と球団による、大リーグ挑戦に関する話し合いが長引き、1月下旬になって今季の契約に合意。現状維持の推定年俸8000万円でサインした。
代理人やマネージメントする広告代理店関係者に唆されて、強硬に渡米を主張したことで、佐々木は完全に球界のヒール役となってしまった。実はこの事態を佐々木のプロ入り前にピタリと予見し、トラブル回避に成功した人物がいる。前巨人監督の原辰徳氏だ。
「2019年、巨人は佐々木をドラフト指名する予定で、大船渡高校で事前にスカウトを交え、本人との直接面談を実施しました。ところがこの時から将来的なメジャー移籍希望を出し、早期のポスティングを要求してきた。佐々木サイドに特別待遇を許さない原前監督が、これに難色を示しました。当時、メディアとの雑談で『最近は入る前からいろいろ言う選手がいる。いかがなものかね。まずは入ってからだと思うけど』とブチまけていましたね。後々、トラブルが起きることがわかっていたわけです」(球界関係者)
結局、巨人はその年のドラフト会議で佐々木指名を回避し、奥川恭伸を1位で入札。くじ引きで敗れて堀田賢慎を獲ったという顛末がある。さすがの鋭い見識だった。
佐々木の独善的行動でゴタゴタに巻き込まれているロッテは、広報など球団総出で火消しに躍起になっている。松本尚樹球団本部長が火の粉をかぶり、
「球団としても話し合いの中で、至らぬ点や落ち度もありました。決して佐々木朗希だけがワガママとかゴネるとか、ということはない」
と弁明しているが、鎮静化の兆しは見えてこない。
「育成方針の下、特別待遇で佐々木を守ってきたことが増長を許し、裏目に出てしまいました。メディア対応ひとつとっても、設定された場でしか佐々木は答えません。メディアからの厳しい質問や指摘をさせないよう甘やかしてきた、広報体制の不備もあります。つけ上がらせてしまった原因は、キチンと検証されるべきでは…」(スポーツ紙デスク)
165キロ男の暴走劇は、どこまで尾を引くのか。
(田中実)